君島一郎 (デザイナー)

君島一郎（きみじま いちろう）は、1929年2月27日に埼玉県本庄市で生まれた日本の服飾デザイナーです。1996年7月14日に67歳で急逝しました。

生い立ちとキャリア

君島一郎は、長野工業高等専門学校建築学科を卒業後、1956年にファッション業界へ転身しました。1962年には、妻である君島由希子と共に、東京・青山に初のブティックをオープンしました。1964年には、ホテルニュージャパンで初のコレクションを開催し、その才能を広く知らしめました。1976年には、パリのプレタポルテコレクションに初参加し、国際的な舞台への進出を果たしました。

1979年には、フランスのパリに「パリキミジマ」を開店し、ヨーロッパでのブランド展開を本格化させました。また、中国政府の招きにより上海でファッションショーを開催するなど、国際的な活動を積極的に行っていました。1991年には、フランスのファッション雑誌『ロフィシェル』に掲載され、その名声はさらに高まりました。

1993年1月8日、皇太子妃に内定した小和田雅子様が、皇室会議に提出するための写真を帝国ホテル内の「佐藤写真」で撮影した際、着用したスーツは君島のオーダーメイドであることが、君島本人によって明かされました。この出来事は、君島ブランドの信頼性を高める大きな要因となりました。

スキャンダルとブランドの凋落

しかし、1995年12月5日、女優の吉川十和子（現：君島十和子）が、君島一郎の次男である君島明との婚約を発表したことがきっかけとなり、君島家を巡るスキャンダルが次々と明るみに出ました。明が本妻・由希子の実子ではないことや、明にまつわる様々なスキャンダル、君島家の複雑な家族関係、兄弟間の対立などが連日マスコミで大きく報道されました。

これらのスキャンダルは、君島ブランドのイメージを著しく損ない、ブティックの売上は激減しました。これにより、経営は急速に悪化し、ブランドは短期間で地に落ちることになりました。

急逝とブランドの終焉

1996年7月14日、君島一郎は急逝しました。莫大な借金を遺したとされ、君島の遺した法人およびブティックは、家族・親族間の争いの末、次男の明が相続することになりました。しかし、明が支払いのトラブルを頻繁に引き起こしたため、ブティックは2000年代に全て閉店となり、現在では一店舗も残っていません。

家族構成

君島一郎の法律上の妻（本妻）は君島由希子であり、その息子は長男の君島立洋です。また、愛人であった佐藤恭子が一郎の母親と養子縁組をして君島恭子となり、その婚外子が次男の君島明です。

関連書籍

君島立洋によって書かれた『わが父君島一郎』（新講社、1996年）は、君島一郎の生涯を深く理解するための貴重な資料となっています。

外部リンク

• - わが父君島一郎 - 書籍の関連サイト
• - PROFILE | YUKIKO KIMIJIMA

君島一郎は、その才能と華やかな活躍の裏で、複雑な家族関係やスキャンダル、そしてブランドの凋落を経験した、波乱に満ちた人生を送った人物でした。

もう一度検索