吸入剤

吸入剤の概要

吸入剤は、呼吸を通じて薬物を体内に投与できる医薬品の一形態です。この方法は、特に気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患（COPD）などの呼吸器系の疾患の治療に広く使用されています。利用する吸入器の種類には、ネブライザーやスチーム吸入器などがあり、さまざまな薬剤が吸入を通じて効果を発揮します。代表的な薬剤には、喘息の治療に用いられるブデソニド・ホルモテロール、サルメテロール・フルチカゾン、インフルエンザ治療のザナミビル、慢性閉塞性肺疾患に用いるチオトロピウムなどがあります。これらの薬剤は吸入器を介して口から吸い込むことで、効率よく体に作用します。

吸入剤の種類とその特徴

吸入剤は、主にエアロゾル製剤（MDI）とドライパウダー製剤（DPI）の二つに分かれます。これらはそれぞれ異なる方法で投与されるため、使用方法に関して理解しておくことが重要です。

エアロゾル製剤（MDI）

エアロゾル製剤は、加圧式定量噴霧吸入器（pMDI）を使用して、定められた量の薬剤を噴霧して吸入する形式です。この装置は、ボンベの中に液状または懸濁剤として薬剤を封入しており、容器を押すと薬剤がエアロゾル状になって噴出します。吸入手技が難しい方にはスペーサーという補助器具を用いることで、吸いやすくなります。

エアロゾル剤の使用方法

使用時は、まず容器をよく振り、息を完全に吐き出します。マウスピースを口に入れながら、ゆっくりと吸い込みつつ容器の底を一度強く押して薬剤を吸入します。吸引した後、薬剤が肺にしっかり届くように5秒ほど息を止めることが推奨されます。

ドライパウダー製剤（DPI）

ドライパウダー吸入器は、2000年ごろから日本でも普及し始め、粉末の薬剤を自らの吸引力で吸入します。このため、喘息の急性発作時には向いていない場合がありますが、特定のステロイド剤やその合剤が用意されています。

DPIの具体的なデバイス

• - ディスカス: 円盤型のデバイスで、吸入前にカバーを開けて粉末を吸引します。残りの回数がカウンターで確認できる機能があります。
• - ロタディスク: 粉末が入ったディスクに穴をあけて使用しますが、操作性はやや手間がかかります。
• - エリプタ: 容器の蓋を開けて準備完了となり、薬剤の残り回数がカウンターでわかります。

ネブライザー

ネブライザーは、薬剤を液体から霧状に変えて吸入できる装置です。これは液体の薬剤を蒸発させることで霧状にし、それを吸入します。特に子供や高齢者に適しており、吸引力が弱い方にも効果的です。

ソフトミストインヘラー (SMI)

このタイプの吸入器は、液状の薬剤を高圧スプレーで霧状にし吸入する形式です。ソフトミストインヘラーは、効率的に薬剤を肺へ届けることができ、含まれる薬剤に応じて使用されます。例としては、レスピマットがあり、液体の吸入が容易です。

吸入器を利用する際の注意点

吸入器を使用する際には、適切な手技を守り、医師の指示に従うことが重要です。また、薬剤の変更や使用に伴う副作用についても十分に理解しておくことが求められます。吸入の際は、吸引後に息を止めて薬が肺に留まる時間を確保することで、より効果を高めることが可能です。

まとめ

吸入剤は、呼吸器系の疾患の治療において重要な役割を果たします。それぞれの器具や薬剤の特性を理解し、正しい使用方法を習得することで、より良い健康管理が実現できるでしょう。

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