吸血鬼 (ブレイド)

ブレイドに登場する吸血鬼（ヴァンパイア）

マーベル・コミック刊行のアメリカンコミック作品『ブレイド』、およびその映画版に登場する吸血鬼（ヴァンパイア）について解説します。

概要

『ブレイド』における吸血鬼（ヴァンパイア）は、人間社会の陰に潜み、人間の血を吸って生きる存在です。通常の人間を遥かに凌ぐ身体能力を持ちますが、日光などの弱点も抱えています。ヴァンパイア・ハンターである主人公ブレイドとの間で、激しい戦いを繰り広げます。

ハーフ・ヴァンパイア

主人公であるエリック・ブルックス、通称ブレイドは、吸血鬼の中でも特異な存在です。彼は出生前、妊娠中の母親が吸血鬼に襲われたことで、吸血鬼の特性が入り込みました。その結果、吸血鬼と同様の身体能力を持ちながら、日光などの弱点を克服した「ハーフ・ヴァンパイア」として生を受けました。

彼は、吸血鬼に殺された母親の復讐を誓い、ヴァンパイア・ハンター「ブレイド」として生きることを決意します。しかし、吸血鬼の特性である吸血衝動に苦悩する日々を送ります。

映画版では、ブレイドの育ての親であり師でもあるエイブラハム・ウィスラーが、彼の特異な出生について説明しています。母親が臨月の時に吸血鬼に襲われたことが、彼がヴァンパイアの弱点を持たない理由だとされています。紫外線ライトを当てても、ヴァンパイアのように火傷を負うことはありません。身体能力や再生能力もヴァンパイアと同等ですが、加齢は人間と同じです。

ブレイドはウィスラーと出会うまで、自身の特異性に怯えていましたが、吸血衝動を抑えるために、ガーリック・エッセンスなどから作った血清を投与しています。重傷を負い血を失った際には吸血衝動に苛まれますが、吸血によって肉体を急速に回復させることができます。映画では、協力者の医師カレン・ジェンソンから吸血して危機を脱したり、血液槽に飛び込んで回復する場面が描かれています。

映画第1作では、ブレイドの母親ヴァネッサが登場します。ブレイドは彼女が死んだと思っていましたが、実際にはヴァンパイア化して生きており、ディーコン・フロストの一味としてブレイドと敵対します。最終的に、ブレイドはフロストの悪事に加担していた彼女を倒します。フロストはヴァネッサを襲った吸血鬼であり、ブレイドにとっては敵であると同時に「ヴァンパイアの父親」という複雑な関係にあります。また、フロストをヴァンパイアに変えたジターノ・ドラゴネッティは、ブレイドから見れば「ヴァンパイアの祖父」にあたります。

カレンはヴァンパイアの根源である「ヴァンパイア・ウイルス」の研究を通じて、ヴァンパイア化を止める薬を開発し、自身を人間に戻すことに成功します。彼女はブレイドにも薬を勧めますが、ヴァンパイアと戦う力を失いたくないブレイドは拒否し、代わりに「もっと強い血清を作ってくれ」と頼みます。

映画第2作では、純血のヴァンパイアであるニッサが、血清で吸血衝動を抑えるブレイドを批判し、ヴァンパイアとしての誇りを語ります。ブレイドは血清を打つのを止め、戦闘で負傷したニッサを救うために、自身の血を飲ませます。この時、血清を打っていなかったためか、ニッサの体に異常は見られませんでした。

映画版の吸血鬼

映画版のシリーズ3作では、独自の設定や展開が存在します。映画版では、吸血鬼ではなく「ヴァンパイア」と表記されています。

第1作『ブレイド』では、ヴァンパイアの基本的な特質がわかりやすく描かれています。ヴァンパイアは「ヴァンパイア・ウイルス」の作用により、人間以上の身体能力と再生能力を持ちます。数メートルの跳躍や自動車並みの速さでの走行が可能で、全身に火傷を負っても死ぬことはありません。腕を切り落とされても再生します。また、加齢も人間に比べて遅く、数十年経過しても若い容姿を保っています。

しかし、銀やニンニク、紫外線には弱く、触れると火傷を負ったり、欠損したりします。急所に攻撃を受けると絶命し、肉体は灰になります。

カレンの研究により、ヴァンパイアはウイルスの作用で血液中のヘモグロビンが不足し、貧血状態になっていることが判明しました。これが、ヴァンパイアが人間の血を求める衝動の根源となっています。

ヴァンパイアには、フロストのようにヴァンパイアに噛まれてヴァンパイア化した「元人間のヴァンパイア」と、ヴァンパイアの親から生まれた「純血種のヴァンパイア」の2種類が存在します。ヴァンパイアのコミュニティでは、ドラゴネッティをはじめとする純血種が「暗黒院の評議員」としてコミュニティを統括し、元人間のヴァンパイアはその下に置かれています。フロストに接触したカレンは、彼がドラゴネッティに噛まれた傷が残っているのを発見し、元人間のヴァンパイアは再生能力を得ても、噛み傷だけは体に残ることが判明しました。

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