吹替の力

吹替の力（ふきかえのちから）

『吹替の力』は、ワーナー・ホーム・ビデオが展開するビデオソフトシリーズで、主にワーナー・ブラザースの作品に焦点を当てた日本語吹き替え版を収録しています。このシリーズは、セルVHS、Blu-ray、DVDに加えて、様々なテレビ局の映画番組で放送された日本語吹き替え音声を収めた製品として販売されています。

背景と概要

このシリーズのスタートの背景には、20世紀FOXが展開した『吹替の帝王』シリーズの成功があります。特に『沈黙の戦艦』や『暴走特急』など、ワーナー・ブラザースの作品がテレビからのリクエストを受けてソフト化されることを望む声が多く集まり、そのニーズに応える形で、『吹替の力』が生まれました。これは、ファンにとって長年待望の吹き替え版ソフトの提供となりました。

2021年からは、20世紀FOXからライセンスを受けたMGM作品もラインナップに加わり、さらに多彩な選択肢をファンに提供しています。これにより、最新の作品からクラシックな映画まで、幅広いジャンルの日本語吹き替え版が楽しめるようになりました。

特徴と魅力

多くの映画ソフトでは、放送尺の問題でカットされたシーンには字幕を使うことが一般的ですが、『吹替の力』シリーズの魅力は、吹き替えが欠落している部分を当時の声優陣が再集結し、追加録音されているところです。これによって、観客は当時の体験を可能な限り再現した形で、映画を楽しむことができます。ただし、すべてのバージョンが収録されるわけではないため、一部の作品では未収録の吹き替えが残ることがあります。

特に『沈黙の戦艦』や『暴走特急』では、初回放送時の淀川長治氏による解説が収録された特典映像DVDが同梱されており、ファンにとっての価値を高めています。さらに、『戦略大作戦』以降の作品では、縮刷ポスターや俳優・声優のフォトカードもセットで提供されており、これらは初回生産分の特典として限定的に付属しています。

発売歴と今後の展望

このシリーズは、2014年12月に第1弾の作品群が発売されて以来、いったんは販売が途絶えていましたが、2016年に再開され、その後は短い間隔で新作がリリースされています。これは、他の類似シリーズに比べて珍しい展開です。

2018年には、『マトリックス トリロジー』や『2001年宇宙の旅』の4Kリマスター版ブルーレイが登場しましたが、残念ながら当シリーズには含まれていませんでした。2022年には『マッドマックス アンソロジー メタルケース & スチールブック仕様』や『カサブランカ』の4K ULTRA HD & ブルーレイセットが発売され、これらもテレビ版吹き替えを収録していることで話題となりましたが、『吹替の力』シリーズとは異なるラインで展開されています。

まとめ

『吹替の力』は、映画ファンにとって貴重な日本語吹き替え版を提供するシリーズとして、今後も続いていくことが期待されます。その豊富なラインナップと、吹き替えの質の高さから、多くの人々に愛され続けていくことでしょう。

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