吹田事件

吹田事件について

吹田事件（すいたじけん）は、1952年6月24日から25日にかけて大阪府の吹田市と豊中市で発生した一連の騒擾事件を指す。具体的には、吹田騒擾事件及びその後の吹田黙祷事件の両方が含まれ、特に前者が一般的にはこの事件を指す。日本の都市における大規模な反戦運動の一環として位置づけられており、同年に発生した他の騒擾事件と並んで三大騒擾事件の一つとされています。

事件の背景

事件の背景には1950年に勃発した朝鮮戦争があります。この戦争は北朝鮮が当初優位を保っていましたが、国連軍の仁川上陸作戦によって戦局は大きく変わりました。日本は当時、連合国の占領下にあり、アメリカ軍の兵站基地として機能しており、特に吹田地域はアメリカ軍が駐留する重要な場所でした。このような状況の中で、北朝鮮系在日朝鮮人や日本共産党は反米・反戦運動を活発化させていました。

事件の概要

1952年6月24日の夕方、大阪大学豊中キャンパスで「伊丹基地粉砕・反戦独立の夕」と称する集会が開催されました。参加者は学生や労働者、在日朝鮮人など多岐にわたり、約1000人が参加しました。集会では「朝鮮戦争の即時休戦」や「軍事基地反対」などの訴えがなされ、集会後、デモ行進が行われることになりました。

デモ隊は、豊中市から南下し、警察の予測を裏切る動きで行動しました。最初の目的地である吹田操車場は、国連軍向けの物資が積まれる場所であり、参加者は「戦争反対」などのスローガンを掲げつつ進行しましたが、実際には軍用列車はすでに移動済みでした。デモの途中、参加者は暴力的な行動に出る場面も見られ、警官や企業の施設を狙った攻撃が行われました。

事件はさらにエスカレートし、デモ参加者と職務を執行する警官との衝突が発生。混乱の中、数百人が逮捕され、111人が騒擾罪で起訴されるという事態に発展しました。警察が発砲した事例もあり、4人のデモ参加者が重傷を負う結果となりました。

裁判の展開

事件の裁判は大きな注目を集め、吹田事件弁護団が結成されました。その中には後に保守系の政治家となる弁護士や国会議員も名を連ね、事件は政治的な議題として取り上げられました。裁判の戦術も注目され、後には日本国民救援会による運動に影響を与えることとなりました。

1953年に朝鮮戦争が休戦すると、被告人たちは裁判所で休戦を祝う拍手を求めましたが、裁判官は静観を選択。また、検察は裁判長の対応に不服を表明し、訴追委員会にかけられる事態が発生しました。この出来事を吹田黙祷事件と呼びます。最終的には、裁判で騒擾罪が認められない判決が下され、その後の再審も続いていくことになりました。

事件は日本の社会における反戦意識や労働運動に大きな影響を与え、今なおその後の運動に資する資料としても支持されています。事件に関する詳細な資料や著作も多数存在し、吹田事件は日本近代史における重要な出来事として語り継がれています。

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