吾妻ひな子

吾妻ひな子

吾妻ひな子（あづま ひなこ、1924年8月21日-1980年3月8日）は、上方芸人として知られる漫才師および漫談家です。彼女は「おんな放談」として、かつての女道楽の要素を取り入れた独自のスタイルで多くのファンを魅了しました。本名は杉森芙美子で、鳥取県鳥取市出身です。

生い立ちとキャリアの始まり

ひな子は米卸問屋を営む家庭の三女として誕生しました。1927年には大阪に移住し、幼少期から三味線や日本舞踊などを習得。小学校を卒業後、1940年頃からは漫才の世界に足を踏み入れました。最初の舞台は17歳の時で、和歌山県の有楽座において親子漫才としてのデビューを果たしました。

当初は「朝日・小日奈」という名で活動し、様々な劇団で経験を積んだり、歌手としても活動するなど多才な一面を見せました。その後、ひな子は「吾妻ひな子」と名乗り、松鶴家光晴などとのコンビを組んで高座に立ちました。

独自の話芸と影響

1964年からは三味線を手に一人高座に転向し、彼女の話芸は特に注目を集めました。甘えた口調で世相を風刺する話術が人気を博し、テレビ番組「お笑いとんち袋」では唯一の女性回答者として活躍しました。

彼女が手掛けた「弾きそうで弾かない三味線」というスタイルは独特で、観客を引き込む手法として定評がありました。このスタイルは、高座に上がる際には三味線や尺八を持ってはいるものの、実際には演奏せずに話を進めるという趣向でした。これにより、観客は次にどうなるのか期待しながら楽しむことができました。

結婚と晩年

また、ひな子は神田千恵子の劇団に在籍中に鳳啓助と結婚、一女を授かるも、後に離婚。その後も一人舞台を中心に活動し、晩年には大阪市内の焼肉店を経営していました。1980年3月8日、同店のトイレで倒れ、死去しました。脳の出血が原因でした。

年齢については若い頃から言及を避け続け、同年代のベテランと共演することも多かったため、実年齢が不明でした。

上方演芸の殿堂入り

2002年には上方演芸の殿堂入りを果たし、彼女の業績が再評価されるきっかけとなりました。この式典において、彼女が過去に著名な漫才師と恋愛関係にあったことが明らかになり、晩年まで数多くの人々から愛されていたことが伺えます。

吾妻ひな子はその独自のスタイルとユーモアで、日本の演芸界に大きな足跡を残しました。

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