吾妻兼治郎

吾妻 兼治郎の生涯と作品

吾妻兼治郎（あづま けんじろう）は、1926年3月12日に山形市で生まれ、2016年10月14日または15日にミラノで亡くなった、日本人彫刻家です。彼はイタリアのミラノを拠点に活動し、抽象芸術の分野で国際的な評価を受けました。彼の作品は、「MU（無）」、「YU（有）」、「慈悲心の美徳」といったタイトルが付けられ、独特の彫刻表面には腐食によって生まれたようなくぼみが施されているのが特徴です。

彼は鋳物屋の家庭に育ち、7人兄弟の二男として生まれました。夜間中学に通っていましたが、途中で中退し、予科練に志願しました。その後、神風特攻隊として戦地に赴きましたが、終戦の後は生まれ故郷の山形に戻り、中学校を再度卒業しました。卒業後は東京芸術大学に進学し、優秀な成績で卒業しました。

大学卒業後は東京芸大の副手として働きましたが、1956年に山形で初めての個展を開催すると、自身のアートキャリアを追求するためにイタリアへ留学しました。留学先のブレラ美術学校では、名彫刻家のマリノ・マリーニに師事しました。芸大での職務を辞した後もイタリアに留まることを選択し、1961年にはミラノで初の個展を催しました。

吾妻のキャリアの中でも特に注目に値するのは、彼が多くの賞を受賞したことです。1963年には国立近代美術館賞、1964年には第7回高村光太郎賞を受賞し、1975年にはヴァチカン美術館において東洋人として初めてのコレクションに選ばれました。また、1999年には第30回中原悌二郎賞を受賞するなど、多くの栄誉に輝きました。

1995年には紫綬褒章、2001年には勲四等旭日小綬章を受章し、日本の彫刻界における地位を確立しました。

吾妻の作品は、多くの彫刻展や美術展で展示され、ヨーロッパ各地で数々の受賞歴があります。しかし、彫刻の独自のスタイルと深い思想性から、国際的に高く評価され続けています。

彼はまた、山形国際ドキュメンタリー映画祭のトロフィーのデザインも手掛けており、2003年の映画祭のカタログには「故吾妻兼治郎」との記載がされる一幕もありましたが、当時は生存していたため、誤解を招く結果ともなりました。

2016年、吾妻はミラノの自宅にて、90歳でこの世を去りました。彼の作品と影響は、今なお多くのアーティストや愛好者に受け継がれ、評価され続けています。

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