呉伯雄

呉伯雄（ご はくゆう）は、1939年6月19日に台湾で生まれた政治家です。客家の家庭に育ち、幼少期には親族が二・二八事件で被害に遭うという経験をしました。彼の兄は現在、東京在住です。

呉伯雄は、国立成功大学で工商管理を学んだ後、教員を経て1968年に政界入りしました。台湾省議会議員からスタートし、1972年には桃園県長に就任。その後、李登輝総統の下で内政部長、台北市長、総統府秘書長など数々の要職を歴任しました。李登輝総統退任後も国民党副主席を務めるなど、党の重鎮として活躍しました。

2007年には、当時の馬英九国民党主席が特別費横領罪で起訴されたことを受け、党代理主席に就任。その後の党主席選で洪秀柱氏を破り、正式に党主席となりました。呉伯雄は、2008年5月に台湾の与党党首として初めて中華人民共和国を訪問し、胡錦濤中国共産党総書記とのトップ会談を実現させました。これは、台湾と中国の関係改善に向けた大きな一歩となりました。同年8月の北京オリンピック開会式や2010年の上海万博開幕式にも出席し、胡錦濤総書記と再び会談を行っています。

また、呉伯雄は、2008年12月に連戦党名誉主席らと共に中国を訪問し、両岸経済貿易文化フォーラムに参加しました。2009年5月にも胡錦濤総書記と会談を行い、両岸経済協力枠組協議の協議入りについて話し合いました。2009年6月には、任期満了に伴う党主席選への不出馬を表明し、党主席の座を馬英九総統に譲りました。その後、2009年10月に馬英九総統が国民党主席に就任すると、連戦と共に国民党名誉主席となりました。

呉伯雄は、日本との関係強化にも積極的でした。2008年12月には与党党首として公式訪日し、森喜朗元首相や鳩山由紀夫民主党幹事長、石原慎太郎東京都知事など、日本の政界要人と会談しました。この際、彼は「台日関係の強化」が訪日の目的であり、馬英九総統の「台日関係は特殊なパートナー」というメッセージを伝達するために来たことを明らかにしました。尖閣諸島問題については、「主権問題を棚上げし、共同資源開発や漁業権問題など、協力することはできる」と述べ、中国との違いを強調しました。呉伯雄は、尖閣諸島周辺での海洋調査活動を活発化させている中国とは異なる立場を示しました。

呉伯雄は、台湾の政治において重要な役割を果たし、中国との関係改善や日本との関係強化に貢献しました。その功績は、台湾の歴史に深く刻まれています。

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