呉美保

呉 美保（お みぽ）

呉美保は、1977年3月14日生まれの韓国国籍の映画監督、脚本家、CMディレクターであり、日本の映画界で重要な役割を果たしている。三重県伊賀市出身で、地元の名張桔梗丘高等学校を卒業後、大阪芸術大学の映像学科に進学。大学では山下敦弘や寺内康太郎などのクリエイターと同時期に学び、共に刺激を受けながら映像制作を志した。

大学在学中の1998年には、自身の祖父がぼけ始めた様子をホームビデオで記録した短編『ハラブジ』が某映画祭で審査員賞を受賞。この経験がきっかけとなり、彼女は映画監督を目指すきっかけとなった。大学卒業後、映画監督大林宣彦の事務所「PSC」に助監督見習いとして入り、そこでの経験を通じて映画制作に対する情熱をさらに深めて言った。

2001年には短編映画『湯布院源流太鼓』が長岡アジア映画祭でグランプリを獲得し、これが彼女のスタート地点となった。以降、『ハルモニ』や『酒井家のしあわせ』などの作品を通じて数々の賞を受賞し、2006年には自らの脚本をもとにした初の長編映画『酒井家のしあわせ』を監督。この映画もまた多くの評価を受け、彼女は映画監督としての地位を確立していった。

彼女の作品には、感情豊かなストーリーテリングや、強いキャラクター描写が特徴的である。2010年には『オカンの嫁入り』で新藤兼人賞金賞を受賞し、2014年には『そこのみにて光輝く』がモントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞。さらにこの作品は、第87回アカデミー賞外国語映画賞部門にも出品され、国際的にも評価を受けた。

私生活においては、仕事で知り合った広告代理店のCMプランナーと結婚し、2015年5月には第1子を出産した。彼女は在日韓国人3世であり、家庭では本名を名乗り続けることを大切にしている。韓国語は流暢には話せないが、彼女の文化的背景は作品にも影響を与えている。

また、映画監督としてだけでなく、CMディレクターとしても成功を収めており、堀北真希が主演する東京メトロのCM「Color your days.」など、多くの広告作品を手掛けている。これにより、商品や企業のブランディングにも寄与している。

彼女の作品は、見る者に深い感動を与えるだけでなく、家族や人間関係、社会問題をテーマとして鋭く掘り下げることで、多くの視聴者に共感を呼ぶ。今後も呉美保は、日本の映画界でさらなる活躍が期待されるクリエイターである。

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