告げ口外交

告げ口外交とは

告げ口外交（つげぐちがいこう）とは、韓国が日本との二国間での直接的な交渉を避け、アメリカなどの第三国に働きかけ、自国の主張を支持させようとする外交戦略を指す、日本における俗語です。この言葉は、特に朴槿恵政権時代に頻繁に見られた外交手法を批判的に表現する際に用いられます。

背景

この外交戦略の背景には、日韓間の歴史認識問題、特に従軍慰安婦問題や強制連行問題などを巡る根深い対立があります。韓国は、これらの問題に対する日本の謝罪や賠償を求め続けてきましたが、日本側は日韓請求権協定によって問題は解決済みであるとの立場を崩しませんでした。また、韓国には、伝統的に気に入らない人物を孤立させるために、周囲に悪口を言いふらす行動パターンがあり、その外交版として告げ口外交が行われたという指摘もあります。

韓国の外交的課題と日本の弱点

韓国は、歴史問題において日本から満足のいく回答を得られず、国際社会での影響力低下を懸念していました。一方、日本は、歴史問題に対する謝罪や賠償に対して、法的責任や他国への波及を懸念し、強硬な姿勢を取り続けてきました。そこで韓国は、日本に影響力を持つ第三国、特にアメリカの世論を味方につけることで、間接的に日本に圧力をかけ、要求をのませようとしました。

目的

告げ口外交の主な目的は、慰安婦問題に対する日本の「心からの謝罪」と「責任ある措置」を実現することでした。しかし、日本側は村山談話やアジア女性基金といった過去の取り組みを挙げ、韓国の要求に不満を持っていました。また、法的責任を認めて賠償を行うことは、北朝鮮や中国など他の国々からの賠償請求につながる可能性を懸念していました。

具体的な事例

朴槿恵大統領は、2013年の大統領就任以降、外国首脳との会談の度に日本を批判し、国際社会に支持を求めました。特に欧米諸国への訪問時には、日本の歴史認識問題に対する批判を繰り返しました。これらの行動は、日本のメディアによって「告げ口外交」と報じられ、野田佳彦元首相もこの外交手法を「女学生の告げ口だ」と批判しました。

2019年には、日本がキャッチオール規制の運用を見直した際にも、韓国政府はアメリカの高官に日本の輸出規制撤回を働きかけましたが、アメリカ側は積極的な介入を避けました。また、国際会議を利用して日本の規制を批判しましたが、各国からの賛同は得られませんでした。

結果と批判

しかし、朴槿恵大統領の告げ口外交は、日本の反発を招き、日米韓の連携を求めるアメリカの意向とも相容れず、最終的には失敗に終わりました。また、韓国国内でも、告げ口外交による対日関係の悪化を懸念する声が高まりました。朴大統領は、在任中に20カ国以上を外遊しましたが、日本を共同で非難する決議や宣言を求める働きかけは、全く成果を上げることができませんでした。その後、崔順実ゲート事件の発覚により、任期途中で弾劾・罷免されました。

その後の展開

文在寅政権でも同様の外交戦略が展開されていますが、韓国では、この外交戦略は「正しいことを正当に言っているだけ」と評価されており、「告げ口」という批判は受け入れられていません。また、日本の国際的な評判を落とす戦略であることから、「ジャパン・ディスカウント」と評する意見もあります。

関連事項

イガンヂル（이간질）: 韓国語で、嫌いな人物を孤立させるために、周囲に悪口を言いふらす行為を指す言葉。告げ口外交の背景にあるとされる。
ハーグ密使事件: 大韓帝国がハーグ平和会議に密使を派遣し、日本の不当性を訴えようとした事件。韓国における「告げ口外交」の原型とも言われる。

まとめ

告げ口外交は、韓国が日本に対して採った外交戦略の一つですが、国際社会の支持を得ることはできず、日韓関係の悪化を招いたという批判もあります。この外交手法は、韓国の外交的課題と日本の外交的弱点、そして両国間の歴史認識問題が複雑に絡み合った結果として生まれたものと言えるでしょう。

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