告白小説、その結末

告白小説、その結末

『告白小説、その結末』（原題：D'après une histoire vraie、英題：Based on a True Story）は、高名な映画監督ロマン・ポランスキーが2017年に発表したミステリー作品です。フランス、ベルギー、ポーランドの3カ国による合作映画として製作されました。

本作の原作は、フランスの作家デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンが著した小説『デルフィーヌの友情』です。人間の心理的な葛藤や、創作活動における苦悩を深く掘り下げた原作の世界観が、ポランスキー監督特有のサスペンスフルな演出によって映像化されています。

2017年5月には、世界三大映画祭の一つである第70回カンヌ国際映画祭でお披露目されました。コンペティション部門ではなく、アウト・オブ・コンペティション（コンペティション外）部門での上映でしたが、その注目度の高さを示しました。

物語の概要

物語の中心となるのは、主人公である作家のデルフィーヌです。彼女は母親について綴った小説が大きな成功を収め、作家としての地位を確立しました。しかし、その栄光とは裏腹に、作品内容を批判し、個人的な領域に踏み込んだ記述を非難する匿名の手紙が届くようになります。

この精神的な攻撃に加え、次の作品へのプレッシャーから、デルフィーヌは次第に深いスランプに陥り、心身ともに疲弊していきます。そんな彼女の前に現れたのが、魅力的でミステリアスな女性、エルです。エルはデルフィーヌの熱烈なファンであり、彼女の抱える苦悩に理解を示し、親身になって支えようとします。

エルとの交流は、当初デルフィーヌにとって救いのように感じられました。しかし、時間の経過とともに、エルの存在は単なる理解者という範疇を超え、デルフィーヌの生活や精神に深く入り込んでくるようになります。彼女の行動や言動には不可解な点が増え、デルフィーヌは次第にエルに対して拭い去れない疑念を抱くようになります。そして、この関係性は予測不能な展開へと向かっていくのです。

主要キャスト

主人公の作家デルフィーヌを演じるのは、監督の妻でもあるエマニュエル・セニエです。精神的に追い詰められていく作家の繊細な心情を表現しています。

そして、デルフィーヌを翻弄する謎の女性エルを演じるのは、エヴァ・グリーンです。その妖艶で捉えどころのない雰囲気で、物語に不穏な緊張感をもたらします。

その他、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、カミール・シャムーらが出演しています。

評価

本作は批評家からの評価が分かれました。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesでは、15件のレビューに基づき、批評家支持率は47%に留まり、平均評価は10点満点中4.7点となっています。また、Metacriticでは8件の批評に基づいた加重平均値が100点満点中43点と、概して低めの評価となりました。

心理的な描写や俳優の演技には一定の評価が見られる一方、物語の展開やサスペンスとしての完成度については様々な意見が出されています。

この映画は、作家の創作活動における苦悩、人間関係の危うさ、そして自己と他者の境界線といったテーマを、スリリングな筆致で描き出しています。

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