周通

周通（しゅうとう/しゅうつう）

中国の著名な古典小説、四大奇書の一つに数えられる『水滸伝』に登場する登場人物。梁山泊に集結した百八人の好漢の一人であり、第八十七位の席次につきます。天に輝く百八の魔星のうち、地空星の生まれ変わりとされています。その渾名は「小覇王（しょうはおう）」。これは、楚漢戦争で勇名を馳せた項羽にあやかって名乗ったものです。

周通は、かつて青州にある桃花山を根城としていた山賊の頭目でした。数百の手下を率いていましたが、その武勇は渾名に似合わず、あまり高いものではありませんでした。槍を武器としていましたが、後に梁山泊に加わるものの、武力では特段優れているわけではない李忠に一騎討ちで敗れるほどであり、魯智深からは「小物」と評されています。梁山泊に加入後の騎兵将校としての地位も、百八星の中では最低の席次となっています。

生涯

周通の物語は、彼が桃花山の頭領だった頃から始まります。山道を通る旅人から金品を奪うことを生業としていましたが、通りかかった李忠を襲った際に、逆に手痛い反撃を受けてしまいます。その結果、周通は李忠に頭領の座を譲ることとなりました。

また、桃花山の麓にある桃花荘の劉氏の娘に目をつけ、力ずくで彼女との結婚を迫るという騒動を起こします。この話を聞きつけた魯智深が助太刀に現れ、周通は魯智深によって容易く撃退されてしまいます。しかし、魯智深が李忠の旧知であることを知ると、周通はこれ以上強引な手段に出ることを諦め、劉氏の娘との縁談を断念しました。

周通が梁山泊と直接関わるきっかけの一つとなったのは、梁山泊討伐のために派遣され、敗れて青州奉行の元へ向かっていた呼延灼という将軍の名馬を盗んだことでした。この一件が発端となり、桃花山が梁山泊に討伐されることになります。この戦いを経て、周通は李忠と共に梁山泊へと合流しました。

梁山泊に加わった後、周通は騎兵軍の一員である小彪将（しょうひょうしょう）兼斥候頭領に任命されます。梁山泊軍が各地を転戦する中で、周通も多くの戦いに参加しますが、彼の武勇が際立つような特筆すべき功績を上げることはありませんでした。主に斥候や副将的な役割を担っていたと考えられます。

物語終盤、梁山泊軍が方臘討伐のために江南へ遠征した際、周通は他の好漢たちと共にこの戦いに参加しました。激戦が続く中で、彼は欧鵬、鄧飛、そしてかつて頭領の座を争った李忠と共に斥候に出ていた最中、敵の猛将である厲天閏（れいてんじゅん）に不意打ちを受けます。武勇に優れない周通は、厲天閏の一刀のもとに斬り殺され、命を落としました。

周通は、同刻に戦死した張順らと共に、宋江の夢の中に現れ、現世との別れを告げたと描かれています。武力こそ目立ちませんでしたが、梁山泊の一員として、その最期まで戦場に身を置いた人物と言えるでしょう。

関連項目

水滸伝
梁山泊百八星
李忠
魯智深
* 方臘討伐

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