味いちもんめ

概要

『味いちもんめ』（あじいちもんめ）は、あべ善太が原作を手掛け、倉田よしみが作画を担当した日本の漫画作品です。この作品は、板前と日本料理の伝統をテーマとしたグルメ漫画であり、1987年から連載が始まりました。1995年にはテレビ朝日系でドラマ化され、多くの視聴者に親しまれています。

ラインナップと受賞歴

漫画自体は、初期には『ビッグコミックオリジナル増刊号』で掲載され、続いて『ビッグコミックスペリオール』に移籍。ただ、1999年に原作者のあべ善太が急逝したため、連載は33巻未満で休止を余儀なくされました。長期連載の結果、1999年には第44回小学館漫画賞の青年一般向け部門を受賞しています。作品の初回掲載名は『アヒル物語』でしたが、次第に『味いちもんめ』へ改題されました。

その後、シナリオ協力者として福田幸江が参加し、『新味いちもんめ』が2008年から2013年まで連載され、さらに『味いちもんめ独立編』や『にっぽん食紀行』など、数回にわたって続編が発表されました。

物語と舞台

物語は、東京新宿にある料亭「藤村」を舞台に展開されます。この店は、京都「吉川」で修行を積んだ板前、熊野信吉が花板として料理を担当しており、主人公の伊橋悟もここで修業に励みます。藤村は名のある料亭ですが、高い技術を要求するため、そこで働く板前たちは互いに厳しく指導し合います。

登場人物

- 伊橋悟：本作の主人公。料理学校の首席卒業生で、最初は指導されることに不満を持っていましたが、他の板前たちとの競争や成長を経て、自身の未熟さに気付き、真剣に板前としての道を歩むようになります。
- 熊野信吉：藤村の花板であり、若手板前たちを指導する役割を担っています。厳しさと温かさを兼ね備えた性格で、味に対するこだわりが強いキャラクターです。
- ボンさん：元僧侶で伊橋の同僚。関西弁を話す彼は、実は料理技術も卓越しており、作品内ではギャンブル好きとしても知られています。
- 谷沢誠：伊橋の同い年で先輩。内気な性格から、多くのトラブルに見舞われながらも成長していきます。
- 坂巻勝男、川島竹一など、多くの仲間たちと共に物語は進行し、それぞれの成長が描かれています。

料理の技術と文化

ストーリーの中で描かれる料理に関する技術は、実際の日本料理と深く結びついており、板前としての仕事における厳しさや楽しさがリアルに表現されています。伊橋の成長物語は、料理の知識や技術の習得にとどまらず、彼の人間性や人間関係の発展も描かれ、読者に感動的なメッセージを届けます。

テレビドラマ

この作品は、1995年からテレビドラマ化され、その後もスペシャルドラマとして複数回制作されています。主演の中居正広が演じる伊橋は、原作の設定を踏襲しつつも、ドラマならではの魅力を放っています。ドラマは大変な人気を博し、後の作品にも多大な影響を与えました。

まとめ

『味いちもんめ』は、単なる料理漫画にとどまらず、主人公伊橋の成長を通じて、友情や努力、愛情の重要性を描いた作品です。料理の奥深さと人間ドラマを両立させ、多くの読者の心をつかんできました。

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