味泥町

味泥町：歴史と自然が織りなす神戸の静かな町

兵庫県神戸市灘区に位置する味泥町は、大石南町、灘浜町、岩屋南町、都通といった地域に隣接する、静かで落ち着いた住宅街です。西郷川が西側に流れ、国道43号が北側に走る、地理的に特徴的な立地にあります。住居表示は丁目に分けられておらず、一つのまとまった地域として存在しています。郵便番号は657-0851です。

由緒ある地名：味泥町の語源

味泥町という地名は、古くから存在しており、文安4年（1447年）の天城文書に「ミトロ」という名称で記録されています。この地名の由来については諸説ありますが、最も有力な説として、低湿地である「深泥（みどろ）」に由来するという説があります。西郷川から流れ込む土砂によって、川尻に沼地が形成されたことが、この地名を生み出したと考えられています。

しかし、『灘区の町名』では、味泥町が全て低湿地だったとは限らないと指摘し、他の可能性も示唆しています。例えば、京都の「菩薩（みどろ）池」は、沙弥僧侶を略して菩薩と読ませたという説や、条里制における土地区画の名称「三十六（ミトロ）」に由来するという説などが挙げられています。これらの説からも、味泥町という地名は、単なる地形説明以上の、歴史的な背景を持つ複雑な由来を持つことがわかります。

人口と生活：現代の味泥町

令和2年（2020年）の国勢調査によると、味泥町の人口は59人（男性19人、女性40人）、世帯数は8世帯です。小さな町ではありますが、静かで落ち着いた生活環境が保たれている様子がうかがえます。周辺地域との調和も保ちながら、地域住民が穏やかな生活を送っていると言えるでしょう。

味泥町の魅力：歴史と自然の調和

味泥町は、歴史的な地名と穏やかな生活環境を併せ持つ、魅力的な地域です。古文書にその名を残す歴史と、西郷川の流れや周辺の自然環境が調和した、独特の雰囲気を持っています。大規模な開発や商業施設の進出が比較的少ないため、古き良き神戸の面影を色濃く残す地域と言えるでしょう。国道43号や周辺の交通網も整備されているため、利便性も確保されています。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年（昭和51年）

味泥町は、その歴史と自然、そして静かな生活環境が織りなす、独特の雰囲気を持つ神戸の町です。これからも、その歴史と魅力を守りながら、静かに時を刻んでいくことでしょう。

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