命題論 (アリストテレス)

命題論について

『命題論』はアリストテレスが著した重要な理論書で、彼の『オルガノン』に収められています。この著作は、様々な表現がいかに成立し、その真偽をどのように判定するかに焦点を当てています。原題は「表現について」「説明について」または「解釈について」と訳されることがありますが、基本的には命題文の構造やその特性に関する理論を展開しています。

構成

本書は全14章から構成されています。内容は以下の3つの主要なテーマに集中しています：

1. 名詞と動詞、文と命題文 (第1章〜第4章)
2. 命題の肯定・否定、そしてその構成 (第5章〜第11章)
3. 様相とその関連性 (第12章〜第13章)
4. 追加的な考察 (第14章)

このような構成によって、アリストテレスは言語の構造を多角的に分析し、各要素の関係性を明らかにしています。

各章の概要

第1章

序論では、名詞や動詞、否定と肯定、表現、文の定義がどれほど重要かが論じられます。特に、名詞や動詞はそれ自体では真偽を持たないことが強調されています。

第2章

ここでは「名詞」が中心テーマであり、名詞は社会的合意によって意味を持つ音声であり、時間的要素は含まれないことが解説されています。

第3章

「動詞」はその固有の意味に加えて、時間の概念を持っており、これが命題文における重要な部分であるとの説明があります。

第4章

言語の最小単位である「文」と、真偽を問う「命題文」の定義が行われます。

第5章〜第11章

ここでは命題文の詳細が扱われ、肯定・否定、単純命題と複合命題、矛盾対立命題、普遍と個別、さらに時制の観点について検討されています。

• - 矛盾対立命題: 同じ事柄に対し、肯定と否定が対立するケースです。
• - 時制: 過去や現在については真偽が成立するものの、未来に関しては未確定な側面があるという視点が提示されます。

第12章〜第13章

様相に関する議論が展開され、「可能」「許容」「不可能」「必然」といった条件が、命題の性質に与える影響について考察されています。これにより、命題に対する判断基準が深化します。

第14章

最後の章では、前の章で論じられた命題の関係性についての追加的な考察が提供されていますが、この章は真作性に疑問を呈する見解があることも留意されます。

訳書と関連項目

この著作は多くの現代訳が存在し、特に『アリストテレス全集 1　命題論 ほか』（1971年、岩波書店）や『新版 アリストテレス全集 1　カテゴリー論　命題論』（2013年、岩波書店）などが広く読まれています。関連項目としては『オルガノン』や「命題」が挙げられ、この著作は古代ギリシャ哲学の中における言語論の基盤を成しています。

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