和光 (商業施設)

銀座和光：銀座のシンボル、時を超える高級商業施設

1881年、服部金太郎が「服部時計店」として銀座に創業した歴史を持つ和光は、現在、セイコーグループ傘下の株式会社和光が運営する老舗商業施設です。銀座四丁目交差点に位置する本館は、その象徴的な時計塔と共に、銀座のランドマークとして広く知られています。

伝統と革新が織りなす空間

和光本館は、1932年に竣工したネオルネサンス様式の建物です。渡辺仁による設計で、地震や火災への対策として外装には天然石がふんだんに使用されています。2008年には大規模な改装工事を経て耐震補強や防災機能の強化が図られ、現代的な機能性と歴史的建造物の風格が見事に調和した空間となっています。

店内では、セイコー製の時計や宝飾品をはじめ、国内外の高級腕時計、宝飾品、陶磁器、バッグ、インテリア雑貨、食品など、幅広い高級商品を取り扱っています。著名人も多く訪れる、まさに銀座を代表する高級専門店と言えるでしょう。6階にはアートギャラリー「セイコーハウス銀座ホール」があり、様々な催しが開催されています。

時計塔とウェストミンスターの鐘

和光本館の時計塔は、銀座のシンボルとして人々に親しまれてきました。毎正時になると、鐘楼からウェストミンスターの鐘が奏でられ、時刻を告げるゴングが鳴り響きます。この音色は、銀座の街の風景に深く刻まれた、忘れがたい音景です。2012年からは、東日本大震災の犠牲者を悼んで、3月11日14時46分に特別に鐘が鳴らされるなど、社会的な出来事にも配慮した取り組みが行われています。

多様な店舗展開と進化

和光は、本館以外にも銀座エリアに複数の店舗を展開しています。「和光アネックス」や「グランドセイコーブティック 銀座」、「セイコー プロスペックスブティック 銀座」など、それぞれのブランドや商品に特化したブティックも充実しており、多様な顧客ニーズに対応しています。かつては「並木館」も存在していましたが、現在は閉館し、2022年6月には5階以上のフロアを改修して「SEIKO HOUSE GINZA」として新装開業。セイコーブランドの発信拠点として、更なる進化を遂げています。羽田空港や大阪などにも支店やブティックを展開し、全国的にその存在感を示しています。

歴史と文化を紡ぐ和光

和光の歴史は、日本の近代時計史、そして銀座の歴史と深く関わっています。戦後、銀座四丁目交差点のビルが接収された際には、銀座五丁目で仮営業を余儀なくされるなど、困難を乗り越えてきた歴史も持ちます。1952年に本館での営業を再開してからは、ショーウィンドウディスプレイやウェストミンスターの鐘の音色といった、銀座の街の風景を彩る要素を積極的に発信し続けています。1948年から1952年にかけては、駐日大韓民国代表部を間借りしていたという歴史的な事実も、和光の社会的な役割を物語っています。

未来への継承

和光は、単なる商業施設としてだけでなく、銀座の歴史と文化を体現する存在として、そしてセイコーグループを代表するブランドとして、その役割を担い続けています。伝統を守りながら常に進化を続ける和光の姿は、これからも多くの人の心を魅了し続けるでしょう。

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