和平履行部隊

和平履行部隊（Implementation Force, IFOR）は、1995年にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を終結させたデイトン合意に基づいて設立された、北大西洋条約機構（NATO）が指揮する多国籍軍です。

紛争終結後、和平を確実なものとするため、国際社会はIFORを派遣しました。この部隊は、単なる監視ではなく、必要に応じて強制力を行使し、和平合意の履行を徹底することが求められました。

構成と目的

IFORには、NATO加盟国だけでなく、非NATO参加国を含む32ヶ国が参加しました。総兵力は約6万人。その任務は、紛争当事者の武装勢力を分離し、和平合意の内容を実行に移すことにありました。具体的には、武器の撤去、地雷の除去、難民の帰還支援、そして自由で公正な選挙の実施を支援することなどが含まれていました。

法的根拠と活動期間

IFORの活動は、国連安全保障理事会決議1031に基づいており、国際連合保護軍（UNPROFOR）から任務を引き継ぎました。活動期間は1995年12月から1996年12月までの1年間と定められていました。

活動の成果とその後

IFORは、その期間中に目覚ましい成果を挙げました。武装勢力の兵力引き離し、武器の撤去、そして和平合意の履行において重要な役割を果たし、ボスニア・ヘルツェゴビナの安定化に大きく貢献しました。1996年12月には、IFORの任務は、同じくNATO指揮下の平和安定化部隊（SFOR）に引き継がれ、紛争後の復興と安定化に向けた努力が継続されました。

IFORの活動は、国際社会が紛争解決と平和維持のために、軍事力を行使することの有効性を示す事例として評価されています。また、多国籍軍による協力体制の構築や、国連との連携の重要性も示唆しています。

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