和歌山県民歌

和歌山県民歌について

「和歌山県民歌」は、和歌山県が公式に制定した県民歌であり、混声四部合唱で演奏される作品です。この歌の作詞は詩人の西川好次郎が手がけ、作曲は山田耕筰が担当しました。

この県民歌が誕生するきっかけは1948年、ある篤志家の提案から始まります。彼は当時の和歌山フィルハーモニック・ソサエティー委員長の竹中重雄に対し、「県の再建に役立ち、未来に残るものを考えてほしい」とお願いしました。これを受け、竹中は県民歌の制定を思いつき、作詞と作曲の担当者をそれぞれ選ぶことに決めました。

作詞部門では佐藤春夫を、作曲部門では山田を選者として一般からの公募が行われました。最終的に、作詞を担当した西川は「南国紀州を愛する熱情を傾けて作詞した」とコメントを残しています。また、選者の佐藤は「情緒豊かに明朗で県民性がよく現れている」と評価しました。曲に関しては、適当な応募作がなかったため、選者の山田自身が作曲することになりました。

1949年には、藤山一郎の歌声で初めてSPレコードが発売され、この歌は広められました。さらに1970年には立川澄人がカバーし、翌年の黒潮国体に合わせて公表されました。この名曲の旋律は、2015年に著作権の保護期間が満了しています。

制定された後は、県の行事で演奏される機会は少なくなっていましたが、2000年代からは県庁の電話保留音として利用されるようになり、1979年には大阪フィルハーモニー交響楽団が演奏したレコードをベースにしたCDが、県内の学校に配布されるなど、普及活動も行われるようになりました。加えて、テレビ和歌山では放送の開始時や終了時に1番の楽曲を流し、県内の風景映像とともに紹介しています。

また、歌碑の建立も行われています。1985年、西川が生涯を過ごした美山村では、747世帯が270万円を寄付し、西川の顕彰碑が設置されました。これに合わせて、3基の歌碑も設立され、そのうちの1基には「和歌山県民歌」の全3番が刻まれています。

「和歌山県民歌」は、県民の愛着を感じさせる楽曲として、今日でも多くの人々に親しまれており、地域の文化や歴史を感じる重要な一曲です。

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