和田政雄

和田 政雄

和田 政雄（わだ まさお）は、1915年1月2日に現在の韓国ソウルにあたる京城で生まれ、1985年12月2日にその生涯を閉じた、日本のラグビー界における重要な人物です。選手として、そして指導者として多大な足跡を残したほか、大学教授としても活躍しました。

選手としての歩み

和田氏は京城商業学校でラグビーを始め、卒業後に明治大学へと進学しました。大学では主にスクラムハーフ（SH）のポジションでプレーし、その巧みなゲームメイクでチームを牽引しました。大学卒業後は朝鮮鉄道局に入社し、ここでも引き続きラグビー選手として活動しました。実業団チームの中心選手としても活躍し、その高い技術と戦術理解度は多くの専門家から評価されていました。

彼の選手キャリアにおける特筆すべき功績の一つに、日本代表としてのキャップ獲得があります。1936年2月16日、大阪府の花園ラグビー場で行われたニュージーランド学生代表クラブ（NZU）との国際試合に、日本代表の一員として出場し、国際試合出場選手に与えられる「キャップ」を初めて獲得しました。この試合は、戦前の日本ラグビー界において、海外の強豪チームと対戦する貴重な機会であり、和田氏はその歴史的な一戦に名を刻みました。

戦後の活動：指導者、そして教育者として

第二次世界大戦の終結後、和田氏はラグビー選手としての活動を終え、教育者としての道を歩み始めました。母校である明治大学の商学部で教授に就任し、教鞭を執りました。教育者としての顔を持つ一方で、ラグビーへの情熱は冷めることなく、指導者としてもその手腕を発揮しました。

1959年10月には、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の合同チームである『オックスブリッジ連合』が来日した際、日本代表チームの監督を務めました。世界のトップレベルにある強豪チームを相手に、日本のラグビーチームを率いるという重責を担い、戦術面や精神面でチームを支えました。この経験は、その後の日本ラグビーの発展にも少なからず影響を与えたと考えられます。

また、和田氏は明治大学におけるラグビーの普及と発展にも深く関わりました。特に、明治大学和泉キャンパスを拠点とするラグビーサークル、明治大学和泉ラグビー部の結成においては、その設立準備から運営に至るまで、尽力しました。これは、伝統ある明治大学ラグビー部とは異なる形で、より多くの学生がラグビーに触れる機会を提供しようとする試みであり、彼のラグビー界に対する貢献は、トップレベルの選手育成に留まらず、裾野の拡大にも向けられていたことを示しています。

選手、日本代表、指導者、そして大学教授という多岐にわたるキャリアを通じて、和田政雄氏は日本のラグビー界、そして教育界に貢献しました。その功績は、現代においても語り継がれています。

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