和田晋

和田 晋 (わだ しん)

和田晋は1898年に福島県会津若松市で生まれた著名な剣道家です。彼の段位は全日本剣道連盟の範士九段であり、一刀流溝口派剣術の伝承者としても知られています。彼の剣道に対する情熱と献身は、剣道界における重要な遺産となっています。

経歴

和田は旧会津藩士である父、和田又四郎のもとに生まれました。彼の剣道のルーツは家族に深く根付いており、祖父の井深宅右衛門は戊辰戦争の際、切腹前に萱野長修から一刀流溝口派を伝授されたといいます。この伝承は、明治維新後も受け継がれ、晋にまで至りました。

1919年、和田は東京高等師範学校に進学し、そこで高野佐三郎の指導を受けることになります。彼は武道の精神を学び、その後は石川県師範学校や金沢第四高校、府立第七中学校、攻玉社中学校など多くの教育機関で剣道を教えました。若松商業高校や会津短期大学でもその教えを広め、多くの剣道部員を育成しました。

晋は一刀流溝口派の秘密を守り続けるかたわら、その形と技を後世に残すことの重要性を感じていました。彼は他言無用の掟を守りながらも、生命の終わりを前にしてこの秘伝を公開することを決意しました。1968年には第14回全日本東西対抗剣道大会で初めてその技を披露し、同年の全日本剣道選手権大会でも演武を行いました。この公開時に晋が覚えていた形は一部のみではありましたが、一刀流溝口派が失われる危機を免れました。

また、和田は全会津剣道連盟の会長や、会津武徳殿の師範、福島県剣道連盟の副会長など、数多くの役職を務めました。彼の活動は剣道界だけでなく、地域の文化にも貢献していました。1982年に彼は亡くなり、その享年は84歳でした。

栄典

和田晋の業績は大いに評価されており、勲五等双光旭日章や福島県文化功労賞などの栄典を受けています。彼の功績は剣道の発展にとどまらず、地域文化の保存と伝承にも寄与したことが特記されます。

参考文献

• - 『剣道時代』1993年9月号、体育とスポーツ出版社
• - 歴史群像シリーズ『日本の剣術2』、学習研究社

外部リンク

• - 会津若松市 いにし映像博物館

和田晋の生涯と業績は、剣道だけでなく武道全般における重要な遺産として、日本の歴史と文化に広範な影響を与えています。

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