萱野長修

萱野 長修（かやの ながはる）

萱野長修は江戸時代末期、会津藩の家老として知られる人物です。彼は戊辰戦争での敗北の責任を負い、処刑されることになりました。通称は権兵衛と呼ばれています。

生涯

萱野家は会津藩の名門で、長修の父、長裕も家老を務めていました。家禄は1,500石に過ぎませんが、名家の一員としてしっかりと家業を引き継ぎました。文久3年（1863年）、長修は家督を継いで藩主の松平容保に仕官し、慶応元年（1865年）に家老に任命されます。それ以降、容保の側近として戦略や政務に関する助言を担い、権兵衛の名を襲名しました。

戊辰戦争が勃発すると、長修はその端緒となる鳥羽・伏見の戦いにおいて京都に居ました。その後、日光方面への出撃や会津戦争時には若松城の防衛に従事しましたが、新政府軍が南方へ進んだため実際の戦闘には至りませんでした。若松城が包囲された後、高久に布陣し、城内との連絡や補給の責任を負いました。

会津藩が降伏した後、長修は東京に送られ、松平喜徳とともに新政府の裁定を待つことになりました。戦後の彼の言動には特筆すべきものがあります。「主君には罪あらず。抗戦の罪は全て自分にあり」と述べ、攻撃を受けた主君を命がけで庇ったため、容保は幽閉の処分にとどまりました。しかし、長修は処刑される運命にあり、当時の文書によると彼を含む21名が処断されました。

長修は一刀流溝口派の剣術の伝授者であり、奥義が失われることを惜しみ、死を前にして火箸を使って井深宅右衛門に伝授した逸話が語り継がれています。彼の墓所は東京の白金にある興禅寺と会津若松市の天寧寺にあり、現在でも墓前祭が行われているとのことです。享年については40歳という説と42歳という説があり、三男の郡寛四郎が作成した系図には42歳と記されています。

萱野家の歴史

萱野家は、会津松平家に仕える以前、加藤明成の重臣でした。加藤家が改易されたため、保科正之が入部する際に萱野家は新たな忠誠を誓いました。権兵衛の9代前の萱野長則は、城受渡しの責任者の一人として活躍しました。

権兵衛の甥である三淵忠彦は初代最高裁判所長官を務めましたが、その選任には松平容保の子、松平恒雄が関与していたという興味深いエピソードもあります。また、作家郡虎彦は権兵衛の三男・郡寛四郎の養子となりました。

長修の家族もまた、多様な歴史的背景を持ち、会津藩士として長期にわたって家名を保つ努力をしてきました。彼の父、妻、そして子供たちもまた、家全国に名前が残るような活動を行っていました。このように、萱野長修とその家族の歴史は、会津藩とも深い関わりを持ちながら、幕末の波乱の時代を生き抜いた重要な人物たちだったのです。

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