咸錫憲

咸錫憲（ハム・ソコン）について

咸錫憲（ハム・ソコン、함석헌）は、1901年3月13日に平安北道で生まれ、1989年2月4日に89歳で亡くなった著名な韓国のキリスト教思想家、独立運動家です。彼の人生と活動は、韓国の歴史において非常に重要で、特に彼の思想や行動は後の民主化運動に大きな影響を与えました。

若き日の咸錫憲

咸錫憲は1917年に結婚し、1919年には平壌高等普通学校に入学します。この学校での経験を通じて、彼は崇実学校の友人や教師たちから強い影響を受け、三・一独立運動に参加することになります。しかし、彼は学校を追放され、日本の校長が反省文を書けば許すという姿勢に納得できず、反発した結果、学校を去ることになりました。その後、彼は1921年に定州の五山学校に編入し、1923年には卒業。続いて東京高等師範学校へ進学しました。

教育者としての活動

1924年、内村鑑三と出会ったことが、彼の思想形成に大きな影響を与えました。1928年に同校を卒業後、彼は母校の五山学校で朝鮮史の教師として教壇に立ちます。同時に、1934年から1935年にかけて、雑誌『聖書朝鮮』で「聖書的立場から見る朝鮮史」という一連の論考を発表しました。この時期、彼は朝鮮の歴史を探求し、その見解を広めることで教育者としての役割を果たしました。

政治的な抗議と投獄

しかし、1938年には学校での日本語使用を拒否したため教職を追われ、その後も日本の圧政に抗議する姿勢を崩しませんでした。そして1942年には、雑誌『聖書朝鮮』に掲載された童話が問題視され、聖書朝鮮事件が発生。この事件は、彼にとっての重大な転機となり、彼は西大門刑務所での1年間の投獄生活を余儀なくされます。

戦後の活動と影響

1945年8月の朝鮮解放後、彼は母国に戻り故郷の平安道を拠点に活動を続けましたが、朝鮮労働党によって「反共産的」とされて投獄されます。朝鮮戦争が勃発する中、彼は釜山に避難し、その後はしばしば講演会を開き、思想的活動を続けました。1956年からは雑誌『思想界』において活発に議論を展開し、彼の思想はより広く知られるようになりました。

彼は1961年に教育大臣として第二共和国に招かれましたが、朴正煕のクーデターにより再び政治の表舞台から去ることになりました。その後、彼は李承晩政権やその後の政権に抗議し、民主化運動の先頭に立つことで何度も投獄されました。1970年には仏教僧と共に『シアレ・ソリ』という雑誌を発刊しましたが、1980年に全斗煥政権によって強制的に廃刊されました。

シアル思想とノーベル平和賞候補

彼の思想は「非暴力民主主義」としてまとめられ、「韓国のガンジー」とも称されました。1979年と1985年にはノーベル平和賞の候補に選ばれるなど、彼の物語と理念は時代を超えて影響を及ぼしました。

1989年、彼はソウル大学病院で亡くなりましたが、その思想は今なお多くの人々に受け継がれています。彼の著書『苦難の韓国民衆史』はその思想的活動の一端を見せる重要な作品として位置づけられています。

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