哀しい少女

「哀しい少女」は、日本の人気グループ、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが1973年4月30日にビクター音楽産業（現在のビクターエンタテインメント〈二代目〉）から発表したシングル曲です。

この楽曲は、グループにとって重要な転換期に制作されました。1972年10月にそれまで所属していた日本コロムビアとの契約を終えた後、ブルー・コメッツは大幅なメンバーチェンジを実施し、新たなレコード会社であるビクターへ移籍。本作は、その新しい環境で最初にリリースされたシングルとして位置づけられます。

メンバー構成の刷新は特に注目に値します。長年グループを支えた井上忠夫、高橋健二、三原綱木の3名が脱退。代わって、ヒロ池ヶ谷、白鳥健二、姫神じゅん、山根宮子、佐伯芳江という5名の新メンバーが迎え入れられ、グループの布陣は大きく変化しました。

シングルのA面曲である「哀しい少女」およびB面曲の「恋に首ったけ」は、いずれも本作に先行して1973年3月25日に発売されていたアルバム『ブルー・コメッツの素晴らしき音の殿堂』からのシングルカットとして世に出されました。つまり、このアルバム制作が、新体制での音楽活動の出発点となったと言えます。

新しいブルー・コメッツは、サウンド面でも変化を見せました。特に、新加入した女性メンバーによるボーカルを前面にフィーチャーするという、それまでのグループには見られなかったスタイルを取り入れました。この思い切った音楽的アプローチは市場で一定の評価を得ることに成功します。

結果として、「哀しい少女」はオリコンシングルチャートで最高37位にランクインを果たしました。これは当時の音楽シーンにおいて、グループの新たな一歩が一定の商業的成果を収めたことを示しています。特に重要なのは、この楽曲が、メンバーチェンジとレコード会社移籍を経て発表された一連のブルー・コメッツのシングル作品の中で、オリコンシングルチャートの100位圏内に入った唯一の作品であるという点です。

B面には「恋に首ったけ」が収録されました。これらの楽曲は、前述のアルバム『ブルー・コメッツの素晴らしき音の殿堂』に収められており、「哀しい少女」はSide-Aの1曲目に、「恋に首ったけ」はSide-Aの6曲目に配置されています。

「哀しい少女」は、ジャッキー吉川とブルー・コメッツがグループとしての形態や音楽性を大きく転換させた時期に発表された楽曲であり、その後の活動において商業的に成功を収めた数少ない作品として、グループの歴史を語る上で見過ごせない一曲と言えるでしょう。1973年の日本の音楽シーンにおいて、彼らが新しい方向性を模索していた証として記憶されています。

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