ジャッキー吉川

ジャッキー吉川（本名：板岡公一）は、1938年8月1日に東京都に生まれ、2020年4月20日に81歳でその生涯を閉じた、日本の音楽史に名を刻むドラマーです。

「ジャッキー」という愛称は、彼の腕の力強さがジャッキに例えられたことに由来すると言われています。

音楽への道とブルー・コメッツ

小中学校時代を東京都八王子市で過ごした後、法政大学第一中・高等学校（現在の法政大学中学高等学校）に進み、さらに法政大学経済学部へと進学しました。高校時代、敬愛するジーン・クルーパに触発され、独学でドラム演奏を始めます。当初は歌手を志望していましたが、高校2年生の時、法政大学の先輩でありブルー・コメッツのリーダーだった大橋道二氏（後に大橋プロを設立）の紹介で、同バンドのバンドボーイとして活動に関わるようになります。

高校3年生の時に母親を癌で亡くすという辛い経験があり、その間もなく、それまでのアルバイト生活から一転、バンドボーイを務めながらドラム演奏も担う形でメンバーの一員となります。しかし、一度バンドを離れ、新宿のキャバレー専属バンドに参加した時期もありました。経済的に苦しい状況が続き、さらにはバンドの女性歌手から自身のドラミングを厳しく評価された経験が転機となり、再びブルー・コメッツへ戻ることを決意します。バンドボーイとして活動を続けながら、ドラムの技術を弛まず磨き続けました。

3年後、ついにブルー・コメッツの正式メンバーとなります。そして、1966年5月から1968年2月までの間、バンドのリーダーとしてグループを牽引しました。この時期、彼はジャッキー吉川とブルー・コメッツの屋台骨として、その中心的な存在感を放ちました。

ドラミングと多彩な才能

彼のドラム奏法は、当時の音楽シーンにおいては非常にドラマチックで力強いものとして注目されました。その個性的でパワフルな演奏は、ブルー・コメッツのサウンドの重要な一部となりました。

また、ジャッキー吉川は音楽活動だけでなく、水泳選手としても優れた実力の持ち主でした。かつては全国大会で入賞した経験も持ち、その多才な一面でも知られています。

晩年と功績

2010年には、酒に酔って転倒し後頭部を強く打ったことが原因で脳出血を発症するという出来事に見舞われます。しかし、手術と懸命なリハビリテーションを経て、再び音楽活動の場に復帰しました。

2020年4月21日、前日にあたる20日に群馬県前橋市の自宅で倒れているのが発見され、死去が報じられました。享年81歳でした。

彼の音楽における長年の功績は高く評価され、没後の2020年12月30日には、第62回日本レコード大賞において特別功労賞が贈られました。

自身の著書として、『天国の大ちゃんに…“ブルー・シャトウ”は永遠なり』（2000年、近代映画社刊）があります。

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