哀愁 (映画)

映画『哀愁』について

『哀愁』（あいしゅう、原題：Waterloo Bridge）は、1940年に制作されたアメリカの恋愛映画で、マーヴィン・ルロイが監督を務め、ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーが主演しています。この作品は、原作がロバート・E・シャーウッドによるブロードウェイの舞台劇であり、もともと1930年に初演されたものを映画化した作品です。1931年に再び映画化されましたが、本作はその再脚色で、舞台の設定やキャラクターに新たな解釈が施されています。

ストーリー概要

物語は1939年9月3日、第二次世界大戦が勃発する直前のロンドンから始まります。イギリスがドイツに宣戦布告したこの日、将校のロイ・クローニン大尉はフランスに出発するため、ウォータールー橋に立ち寄ります。そこで彼は、かつて出会ったバレエの踊り子、マイラ・レスターとの思い出にふけることになります。

物語は第一次世界大戦中に遡り、ロイとマイラがウォータールー橋で出会うシーンから始まります。空襲警報が鳴り響く中、二人は地下鉄に避難し、互いに寄り添います。ロイが戦地に赴く前夜、ふたりは貴重な時間を共に過ごして、関係が深まりますが、戦争が彼らの未来に影を落としています。

ロイが戦地へ向かう日、マイラは一瞬の再会を果たし、ロイのプロポーズを受け入れるものの、運命は彼らに厳しい試練を課します。ロイが召集され、戦場に送られる中で、マイラは職を失い、生活に困窮します。

特に悲劇的なのは、ロイを亡くしたとのニュースが届くことです。希望を失ったマイラは、友人のキティが娼婦として生活していることを知り、次第に自分もその道に進むことを余儀なくされます。彼らは時の流れに翻弄されながらも、愛し合い続けるものの、その運命は暗い結末へと向かいます。

クライマックスと結末

物語のクライマックスでは、戦争を生き抜いたロイと偶然再会したマイラが悲劇的な運命に直面します。ロイは彼女を幸せにすることを誓いますが、マイラは過去を背負ったまま行動することができず、ついには命を絶つという悲劇的な選択をしてしまいます。彼女の抱えていた秘密と苦悩が、結末へと向かう二人の運命をさらに悲惨にします。

映画『哀愁』は、愛と運命の切なさを描いた感動的な作品で、主演のヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの演技は特に高く評価されています。また、作品中の楽曲「別れのワルツ」の演奏と共に、彼らの愛が深まる重要なシーンが印象的で、多くの人々に心に残る場面となっています。特にヴィヴィアン・リーが本作を自身の最も好きな作品と語っていることからも、その魅力を感じ取ることができます。

この映画は、戦争を背景にした愛の物語として、多くの観客に響く感情を呼び起こします。切ない余韻を残す作品として、今でも多くの人に愛され続けているのです。

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