哈爾哈廟事件

ハルハ廟事件の概略

ハルハ廟事件は、1935年に発生した日ソ国境紛争の一つで、モンゴル人民共和国と満州国の間での紛争を示す重要な事例です。モンゴル軍の国境侵犯や不法行為は、満州国の建国以来しばしば目撃されており、その中でも特にこの事件が注目されています。

事件の発端

事件は1935年1月8日に始まりました。モンゴル兵が貝爾湖（ボイル・ノール）の東北岸に位置するオランガンガ哨所近くに現れ、そこに配置されていた日本の監視兵を脅迫し、撤退を余儀なくさせました。その後、モンゴル軍はハルハ廟およびその周辺地域を占拠し、銃眼の構築や望楼の修築を行いました。この行為が日本の興安北警備軍の注目を集め、事態が悪化するきっかけとなりました。

日本の軍事行動

興安北警備軍は、この事件の調査を行うために本多少佐を現地に派遣しました。1月24日、瀬尾中尉が率いる日本の部隊がハルハ廟に接近した際、十数名のモンゴル兵による一斉射撃を受ける事態が発生しました。この攻撃で瀬尾中尉を含む2名が戦死し、多数の負傷者が出ました。

この報告を受けた北警備軍の主力部隊は、迅速に国境線の確保に向かい、日本軍の支援を受けてモンゴル兵に対し、1月27日までの国境外への撤退を要求しました。しかし、彼らはこの要求に応じず、最終的に日本の満州軍はハルハ廟を包囲し、モンゴル兵を強制的に追放することに成功しました。

国際的な反応

ハルハ廟が奪還された報告を受けたモンゴルおよびソ連は、タス通信を通じて日本軍がモンゴルの領土を侵犯したとの報道を行いました。これに対し、日本は事態を平和的に解決しようと努め、満州里会議の開催を提案しました。

会議は6月1日に開幕しましたが、双方の意見の相違から合意には至らず、10月2日からの第二次会議も決裂に終わりました。この一連の事件は、その後の日本とソ連の関係に影響を与え、日ソ間の緊張をさらに高める要因となりました。

まとめ

ハルハ廟事件は、日ソ国境紛争の中で特に重要な出来事の一つです。この事件は、国際社会における日本とソ連の対立を象徴し、両国間の緊張感を一層深める結果となりました。満州国とモンゴル人民共和国の間での争いが、国際的な問題に発展したことは、戦間期における国際政治の不安定さを浮き彫りにします。

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