哺乳類レッドリスト (環境省)

哺乳類 レッドリストとは

哺乳類レッドリストは、環境省が日本の野生哺乳類の絶滅危惧度を評価し、リスト化したものです。このリストは、生物学的観点から種や亜種の絶滅リスクを判断し、絶滅のおそれのある種を選定することを目的としています。重要な点として、これは日本国内の個体群に対する評価であるため、リストに掲載されていても世界的に見れば普通種である場合があります。

環境省版の哺乳類レッドリストは、1991年に初めて公表されました。その後、1998年、2007年、2012年と数回の改訂を経て現在に至っています。

1991年版: 『日本の絶滅のおそれのある野生生物－脊椎動物編』として公表。掲載種数は64種でした。
1998年版: 改訂版として公表。掲載種数は89種に増加しました。
2002年: 1998年版を基に『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 -レッドデータブック- 1 哺乳類』が作成されました。
2007年版: 第3次レッドリストとして公表。掲載種数は92種に増加しました。
2012年版: 第4次レッドリストとして公表されました。

掲載種数の増加は、分類の変更や評価単位の変更（種から亜種への変更など）によるもので、単純に絶滅危惧種が増加したとは言えません。例えば、以前は別種とされていたものが同種と判明した場合や、種単位で評価していたものを亜種単位で評価するようになった場合などが挙げられます。

評価対象種と要件

哺乳類の評価対象種は、180種の在来種です。評価対象となるための要件は以下の通りです。

1. 亜種: 原則として亜種を評価対象とします。
2. 純海産種: 純海産種は対象外ですが、浅海域に依存するジュゴンは例外として扱われます（1998年版では純海産種は全て対象外でした）。
3. 導入種: 海外や他地域から導入された種は対象から除外されます。

絶滅危惧種の数の変動

絶滅危惧種（絶滅のおそれのある種）の数は、改訂ごとに変動しています。

1991年版: 14種
1998年版: 48種
2007年版: 42種

2007年版では、評価対象種180種のうち約23.3%が絶滅危惧種とされています。

1991年版から1998年版にかけて絶滅危惧種が増加しましたが、これはコウモリ類の評価が細分化されたことや、原生林に生息する樹洞性コウモリ類の生息環境が悪化したことが要因です。一方、1998年版で選定外となった種や個体群もありますが、これは絶滅の危機に瀕していないと再評価されたものや、農作物への食害、外来種であるなどの理由によります。

1998年版から2007年版にかけては、コウモリ類のカテゴリーランクが大幅に変更されました。これは情報の蓄積によるもので、ランクが上昇した種よりも減少した種の方が多く、ランク外となった種も多かったため、絶滅危惧種の数が減少した要因の一つとなっています。また、新たに海生哺乳類のジュゴンが掲載され、ヤクシマザルやホンドザルの下北個体群は増加傾向にあるためランク外となりました。南西諸島に生息するイリオモテヤマネコは減少傾向によりランクが上昇し、徳之島のアマミトゲネズミは新種記載され、トクノシマトゲネズミとしてカテゴリーが付与されました。

2010年には、環境省が海の野生生物のレッドリスト作成に着手しました。

レッドリスト掲載種目

レッドリストに掲載される種目は以下の通りです。

トガリネズミ目
コウモリ目（翼手目）
サル目（霊長目）
ネズミ目（齧歯目）
ウサギ目（重歯目）
ネコ目（食肉目）
クジラ偶蹄目（鯨偶蹄目）
ジュゴン目（海牛目）

注意点

各レッドリストの掲載種数は、見直しに伴い評価単位である分類群が変更されることがあるため、表内のカテゴリー数と合計数が一致しない場合があります。これらの変遷も追えるようにリストが作成されています。

参考資料

環境庁自然環境局野生生物課編『日本の絶滅のおそれのある野生生物脊椎動物編』
環境省自然環境局野生生物課編『改訂･日本の絶滅のおそれのある野生生物1 哺乳類』
環境省生物多様性センター『絶滅危惧種情報』生物多様性情報システム
環境省報道発表資料

外部リンク

環境省自然環境局生物多様性センター
生物多様性情報システム
絶滅危惧種情報
IUCN日本委員会

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