唇を閉ざせ (映画)

フランス映画『唇を閉ざせ』：隠された真実の謎解き

2006年に公開されたフランス映画『唇を閉ざせ』(原題: Ne le dis à personne)は、アメリカ合衆国の作家ハーラン・コーベンの同名小説を映画化したサスペンススリラー作品です。監督はギヨーム・カネ、主演はフランソワ・クリュゼとマリ＝ジョゼ・クローズという豪華キャストを迎え、高い評価と多くの賞を受賞しています。

8年越しの謎：蘇る妻

物語の中心人物は、8年前に愛する妻マルゴを惨殺された過去を持つ小児科医アレックスです。彼はある日、妻との関係を示唆する「M+A」という謎めいたメールを受け取ります。メールの指示に従い、あるウェブサイトにアクセスすると、そこには現在のマルゴらしき人物が映った動画が。マルゴはまだ生きているという希望を抱いたアレックスは、マルゴの死を確認した唯一の人物である、元警官でマルゴの父親ジャックに接触します。しかし、ジャックはマルゴの生存を否定し、アレックスの希望は打ち砕かれるかに見えます。

それでも、心に残る疑問を拭い去ることができないアレックスは、単独で真相解明に乗り出します。しかし、彼の行動は謎の男たちによって監視されており、やがてアレックスはマルゴの親友シャルロット殺害容疑者として警察に追われる身となります。

複雑に絡み合う人間関係

アレックスを取り巻く人々は、それぞれに秘密を抱えています。アレックスの姉アンヌとその恋人エレーヌ、敏腕弁護士エリザベス、地方議会議長で児童財団総裁ジルベール、そしてアレックスを監視する謎の男ベルナールなど、様々な人物が登場し、物語に複雑な様相を呈します。さらに、アレックスを助けるゴロツキのブリュノや、警察の捜査官であるレフコヴィッチとその部下フィリップといったキャラクターも物語を彩ります。

これらの登場人物それぞれが持つ過去や秘密が、少しずつ明らかになり、アレックスの追及によって事件の全貌が解き明かされていきます。緊迫した展開と、予測不可能な結末が待ち受けている、見応えのある作品です。

キャスト

アレックス・ベック：フランソワ・クリュゼ（小児科医）
マルゴ・ベック：マリ＝ジョゼ・クローズ（アレックスの妻）
ジャック・ローランタン：アンドレ・デュソリエ（マルゴの父）
エレーヌ・パーキンス：クリスティン・スコット・トーマス（アレックスの友人で姉の恋人）
エリック・レフコヴィッチ：フランソワ・ベルレアン（ヴェルサイユ署の警視）
エリザベス・フェルドマン：ナタリー・バイ（アレックスの弁護人）
ジルベール・ヌヴィル：ジャン・ロシュフォール（地方議会議長、児童財団総裁）
アンヌ・ベック：マリナ・ハンズ（アレックスの姉）
ブリュノ：ジル・ルルーシュ（アレックスを助けるゴロツキ）
フィリップ・メナール：フィリップ・ルフェーヴル（レフコヴィッチの部下）
シャルロット・ベルトー：フローレンス・トマシン（マルゴの親友）
ベルナール・ヴァレンティ：オリヴィエ・マルシャル（アレックスを監視する謎の男）
フィリップ・ヌヴィル：ギヨーム・カネ（ジルベールの息子）
ザック：ミカエラ・フィッシャー（女殺し屋）

受賞と評価

『唇を閉ざせ』は、第32回セザール賞において作品賞を含む9部門にノミネートされ、監督賞、主演男優賞、作曲賞、編集賞の4部門で受賞しました。フランスのメディアによる評価も高く、Rotten Tomatoesでは93%の高評価を得ています。Metacriticでも平均点82点と、批評家から絶賛された作品です。

ハリウッドでのリメイク

2009年にはハリウッドでのリメイクが発表され、2010年にはオーストラリアの映画監督アンドリュー・ドミニクが脚本を執筆したと報道されました。

緻密に練られた脚本、緊迫感あふれる演出、そして豪華なキャストが織りなす『唇を閉ざせ』は、忘れがたいサスペンス体験を提供してくれるでしょう。一度ご覧になることをお勧めします。

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