喜劇 一発大必勝

映画『喜劇 一発大必勝』の概要

『喜劇 一発大必勝』は1969年に公開された松竹製作のコメディ映画で、監督は山田洋次、主演はハナ肇が務めています。映画の上映時間は92分であり、ストーリーはコメディ要素を多く含んでいることが特徴です。

概要

この作品はハナ肇と倍賞千恵子が共演した「一発」シリーズの最終編で、原作は藤原審爾の小説「三文大将」です。シリーズはこれまでの作品と同様、日常生活の中での笑いや人間関係の複雑さをユーモアを交えて描いています。

物語のあらすじ

物語は内海に面した工業都市を舞台にしており、バスの車掌である荒木つる代は服役中の夫と赤ちゃんを抱えつつ日々を過ごしています。彼女の恋心を密かに寄せるのは同じ長屋に住む保健所員の左門。ある日、つる代のバスに長屋の仲間たちが大きな箱を持参し、彼らは盛装ながらも様子が不穏でした。その理由は、仲間の馬さんが河豚にあたり急死してしまい、左門が寄付した葬式のための棺桶代を酒代として浪費してしまったからです。悲しいはずの馬さんを前にしてバカ騒ぎする彼らは、ついに思わぬ事態を引き起こしてしまいます。

長屋に突然現れたのは、ボルネオから帰ってきた大男の寅吉。彼は派手な振舞いで仲間の死を悲しむように見えますが、その実態は長屋の人々を困惑させる行動に出始めます。酔っ払いの状態で馬さんの遺骨を弄んだり、長屋の人々を振り回したりする様子は、混沌とした笑劇の舞台を作り上げます。やがて寅吉の行動によって、長屋の人々は体調を崩し、左門は心配で一杯になります。恐れていた通り、彼がコレラを持ってきたのではないかという疑念が浮かびます。

長屋の仲間たちは寅吉に旅行資金を渡して厄払いをしようと試みますが、彼は再び一年後に戻ってきて、更なる混乱を引き起こします。つる代は寅吉の行動に堪忍袋の緒が切れ、彼を説得しようと奮闘します。その中で、左門は寅吉との対決を経て重傷を負わせることになり、しかしその看病の中で寅吉は徐々に回復していきます。

一方、服役中の夫からは離婚のために巨額の金銭を要求され、つる代は厳しい状況に直面します。その後、寅吉が工事現場での事故を装い、労災金を狙った結果、左門が思わぬ悲劇に見舞われます。事件が進むにつれ、酒に酔った寅吉は棺桶から左門を引き出し、混乱の中で左門の心臓が活動を再開するという予期せぬ出来事が起こります。

結末と後日談

物語のクライマックスでは、左門がつる代に求婚するも、彼女は断ります。しかし、だんだんと別れた左門からの手紙が届き、彼が残したものをつる代に贈るとの内容が記されていました。作品の終盤で、左門は寅吉との再会を果たし、多くの感慨を抱くことになります。

この映画はコメディという枠を超えて、人生の悲喜こもごもを描いており、笑いや感動を通して観客に深い印象を残す作品となっています。

スタッフとキャスト

この映画のスタッフには、監督の山田洋次をはじめ、原作の藤原審爾、脚本の森崎東と山田洋次、さらには撮影を担当した高羽哲夫、美術の梅田千代夫などが名を連ねています。出演者にはハナ肇や倍賞千恵子、谷啓らが含まれ、彼らの演技が物語を一層引き立てています。

『喜劇 一発大必勝』は日本の喜劇映画の中でも特に印象深い作品として、多くのファンに愛され続けています。

もう一度検索