喜連川城

大蔵ヶ崎城（喜連川城）

大蔵ヶ崎城、またの名を喜連川城は、栃木県さくら市の喜連川にかつて存在した日本の城です。この城は喜連川丘陵の一部に位置し、小高いお丸山の頂上に築かれた連郭式の山城として知られています。現在では、城跡に堀や郭の名残が残り、その歴史を感じさせています。

歴史的背景

この城の築城は平安時代末期のことで、当時の武将塩谷五郎惟広によって行われました。惟広は源氏側として源平合戦に参戦し、一ノ谷や屋島で戦功を挙げました。その戦功により、彼は塩谷荘の一部、現在の喜連川付近に相当する三千町の領地を賜ったことが、城の歴史の重要な始まりとなります。

文治2年（1186年）には、大蔵ヶ崎城が築かれ、土地の名を「喜連川」と改めたことにより、惟広は喜連川塩谷氏の初代として知られるようになります。塩谷氏は4代で一度絶えましたが、同族の藤姓塩谷氏から養子を迎え入れ、その後も長らく城を支配し続けました。実に17代・400年にわたって続いた支配は、地域に深い影響を与えました。

しかし、時が進むにつれて、戦国時代には、塩谷氏が宇都宮氏との関係で複雑な状況を経験し、時には離反し、時には帰参する姿が見受けられました。一族の内紛も影響し、塩谷氏は徐々に衰退していきます。特に17代目の塩谷惟久は、豊臣秀吉の小田原征伐の際に遅参し、結果的に改易される運命を辿りました。この時期、塩谷家に対する秀吉の怒りにまつわる伝承も残されており、歴史的な興味を引く要素ともなっています。

その後、関東公方系の足利氏の後裔がこの地に入封します。足利氏は戦国時代に古河公方家と小弓公方家に分かれていましたが、豊臣秀吉の意向もあって、氏姫を小弓公方家の足利国朝に嫁がせることで、喜連川3500石の領地を与えられました。

国朝が文禄の役に従軍中に突然亡くなると、頼氏がその家督を継承し、再び喜連川姓を称することになります。頼氏は関ヶ原の戦いの後にさらなる石高を受けて、喜連川藩を立藩。足利氏の血筋を継ぐ者として、特別な扱いを受け、様々な特権が与えられることになりました。

城下町の発展

この頼氏の代に入ると、城下町の整備が進められました。山城の大蔵ヶ崎城から、より利便性の高い喜連川陣屋へと移行し、それに伴い藩庁もそこに移されました。喜連川家による支配は280年以上、幕末まで続きました。そして、1870年には廃藩置県が行われ、喜連川藩は新政府に領地を返還。その結果、城も廃城となってしまいました。

現在の状況

廃城後、大蔵ヶ崎城の跡地はお丸山公園として整備され、地域の観光拠点となっています。残された城の遺構には、一の堀から四の堀までの空堀や土塁が見られ、訪れる人々はその歴史を探ることができます。春になると、園内の桜が300本花を咲かせ、多くの花見客を呼び寄せます。

公園内には喜連川スカイタワーが設けられ、展望台からは栃木県北部の美しい景観が楽しめます。さらに、天候によっては富士山を一望できることもあり、周囲の魅力を引き立てています。加えて、山頂には温泉施設も備えられており、訪れる人々に癒しの場を提供しています。

しかし、2011年の東日本大震災とその後の台風により、地域は甚大な被害を受け、一時は立ち入り禁止となるなど厳しい時期を迎えました。復旧作業が進められたものの、特にスカイタワーなどの大型施設は再開の見通しが立っていないため、地域の未来についても議論が続いています。お丸山公園は往時の城の歴史を語り、訪れる人々にその魅力を伝え続けています。

もう一度検索