塩谷氏

塩谷氏（しおやし、しおのやし、しおたにし、えんやし）

塩谷氏は、日本の多様な氏族の一つです。その読み方やルーツは様々で、主なものとして「しおや」、「しおのや」のほか、「しおたに」、「えんや」と称する家系も存在します。ここでは、それぞれの塩谷氏の歴史と特徴について解説します。

下野国塩谷郡を発祥とする塩谷氏（しおのやし）

この系統は、源義親の子である堀江頼純が下野国塩谷郡に下り、その地名から塩谷氏を創始したと伝えられています。塩谷郡は古くから「しおのや」と呼ばれており、『和名抄』にも「志保之夜（シホノヤ）」と注釈されています。この地を詠んだ歌も残されており、その歴史の深さを物語っています。

そのため、下野国塩谷郡を拠点とした塩谷氏は「しおのや」と名乗り、その呼称は江戸時代に至るまで受け継がれました。現在でも、地名が「しおや」に変わった後も、氏姓の呼称は「しおのや」のままとなっています。

源姓塩谷氏

塩谷荘を支配したとされる清和源氏の一族で、源義親の子である堀江頼純が塩谷荘司として塩谷氏を名乗ったのが始まりとされています。ただし、同時代史料による確実な裏付けは存在しません。

堀江氏は塩谷荘33郷を支配し、居城は堀江山城と御前原城の両説があります。5代目朝義に子が無かったため、宇都宮業綱の次男竹千代（朝業）を養子に迎え、源姓塩谷氏の時代は終焉しました。

喜連川源姓塩谷氏

本家である源姓塩谷氏は断絶しましたが、塩谷惟純の次男惟広の子孫によって血脈は維持されました。彼らは喜連川の大蔵ヶ崎城を中心に勢力を持ちましたが、惟守が和田合戦で討死すると衰退し、藤姓塩谷氏から養子を迎えて源姓塩谷氏は完全に途絶えました。

藤姓塩谷氏

源姓塩谷氏の最後の当主・朝義の養子となった竹千代が元服して朝業と名乗り、家督を継いだことで藤姓塩谷氏が始まりました。藤姓とは、朝業の実家である宇都宮氏が藤原氏の出自であったことに由来します。

藤姓塩谷氏は約260年〜300年間続きましたが、教綱の時代に関東公方足利持氏と結び宇都宮氏に謀反を起こし、最終的に教綱が宇都宮氏によって殺害され衰退しました。

重興塩谷氏（再興塩谷氏）

孝綱は宇都宮氏の出身ですが、父の正綱が芳賀氏からの養子であったため、それ以前の藤原姓塩谷氏と区別して重興塩谷氏と呼ばれます。

重興塩谷氏の時代には内紛が続き、家臣の独立などにより衰退していきました。義綱の時代に豊臣秀吉によって改易が言い渡され、その後、義綱は出奔、義通が跡を継ぎますが、その子孫も岡本氏の謀略により殺害され、野州塩谷氏は改易となりました。

その後、保真の三男保正が幕臣となり、義通流の塩谷氏の命脈を保ちました。保正から数えて5代目塩谷正義は西国郡代にまで出世し、日田の名代官として称えられました。

佐竹家臣時代

義綱は改易後、佐竹義宣に仕え、佐竹氏の転封に従い出羽国に移りました。子孫は佐竹氏の家老職などを務めましたが、最後の当主である温綱に子が無かったため、嫡流は明治時代に断絶しました。

武蔵国児玉郡をルーツとする塩谷氏（しおやし）

この系統は、武蔵七党の一角を占める児玉党の支流です。児玉武蔵権守家行の次男である児玉二郎家遠が塩谷郷を与えられ、その地名から塩谷氏を名乗ったのが始まりです。児玉党系塩谷氏は、源平合戦などで活躍した記録が残っています。

児玉党系塩谷氏は伊勢国と安芸国の所領を得ましたが、本貫地である児玉郡塩谷郷は室町時代には安保氏の所領となりました。

安芸塩谷氏

児玉党系塩谷氏は、児玉氏と同様に安芸国へ地頭として移住した者がおり、能美島の地頭として記録されています。彼らは瀬戸内に出没する海賊や悪党を取り締まっていたと考えられています。

その他の塩谷氏

「しおたに」、「えんや」と読む塩谷氏も存在します。これらの系統については、詳しいことは分かっていません。

塩谷氏を名乗る著名人

塩谷一夫（しおのや かずお）：元衆議院議員
塩谷立（しおのや りゅう）：衆議院議員
塩谷庄吾（しおたに しょうご）：俳優
塩谷哲（しおのや さとる）：音楽家
* 塩谷司（しおたに つかさ）：プロサッカー選手

など、様々な分野で活躍する人物がいます。

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