喪服のランデヴー

喪服のランデヴー

『喪服のランデヴー』（もふくのランデヴー、英題：Rendezvous in Black）は、アメリカの作家コーネル・ウールリッチによるミステリー・サスペンス小説です。1948年に初版が刊行され、以後、アメリカと日本でテレビドラマ化もされました。本作は愛と復讐、そして運命の皮肉をテーマにしており、読者を引き込むストーリー展開が魅力です。

あらすじ

別れ

ジョニー・マーとその恋人ドロシーは、長年にわたり毎晩8時にドラッグストアの前で待ち合わせをし、ともに時間を過ごすのが日課でした。彼らは結婚の約束を交わし、未来への期待に胸をふくらませる中で、ある運命的な日が訪れます。5月31日の夜、ジョニーは待ち合わせの時間に数分遅れます。その瞬間、運命の歯車が狂い始め、上空を飛ぶ飛行機から投げ捨てられた酒瓶がドロシーの頭に直撃し、命を奪ってしまいます。この悲劇は、ジョニーの心に深い傷を残し、さらなる悲劇を引き起こす引き金となります。

最初のランデヴー

上院議員のグレアム・ギャリソンは、愛する妻を不運な事故で失います。彼は妻の死に深く思い悩み、「どんな気持ちかわかったろう」と書かれた手紙が届くことで、さらなる苦悩にさらされます。彼の失った愛情と喪失感が、後の事件に影響を及ぼすのです。

第二のランデヴー

ストリックランド・ヒューは，愛人のエスター・ホリデーを訪ねると、彼女が惨殺されているのを発見します。無関心だった妻フローレンスの裏切りが、元凶となり、ストリックランドは無実のままエスターの殺人犯として死刑にされようとしてしまいます。その現場には、ギャリソンに届いた手紙と同様のメッセージが残されていました。これにより、彼もまた運命に翻弄されることとなります。

第三のランデヴー

バッキィ・ペイジは、愛する妻シャロンを残して兵役に就きます。ある日、彼にはシャロンからの愛情にあふれた手紙と匿名の浮気を告げる手紙が届きます。その真実を確かめるべくバッキィは危険を冒して脱走し、シャロンの元へ戻りますが、そこで彼女が凶刃に倒れた現場に直面します。バッキィ自身も命を落とし、二人は心中として処理されることになります。

第四のランデヴー

刑事のマックレイン・カメロンは、一連の事件を追う中で、次の犠牲者がリチャード・ドリューの娘であるマダリンであることに気付きます。しかし、運命はまたもや彼女を無情に奪います。ジョニーの手にかかることで、マダリンも命を失うのです。

第五のランデヴー

アレン・ウォードの恋人マーティンは、過去の事件に対する恐れから横浜へ脱出を試みますが、5月31日を越えた翌日、運悪く命を落とします。このように、5月31日という日付は出発点でもあり、その終わりをも意味しているのです。

再会

カメロン刑事は、最後の手段として警察見習い生にドロシーの姿を借りさせ、再びドラッグストアの前で待ち伏せします。これにより、連続殺人事件の真相に迫ろうとします。

テレビドラマ化

この作品は、1956年10月18日にアメリカのCBSで放送されるなどテレヒーネット版も制作されました。そして、2000年に日本でも再演され、様々な解釈と演出で視聴者を引き込みました。現代日本への翻案も注目され、世代間抗争をテーマにした新たな視点が加わっているのです。

まとめ

『喪服のランデヴー』は、愛と裏切り、運命による悲劇を描いた作品であり、読者や視聴者に深い感情を与えるミステリーです。複数の視点から描かれたストーリーは、観る者を惹きつける魅力にあふれており、ジャンルを超えた普遍的なテーマが光ります。

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