営団1300形電車

営団1300形電車：銀座線の黎明期を支えた革新的な車両

営団1300形電車は、現在の東京地下鉄（東京メトロ）の前身である帝都高速度交通営団が、戦後の急激な輸送需要の増加に対応するために製造した、銀座線用の電車です。1949年（昭和24年）から1951年（昭和26年）にかけて、15両（1355 - 1369号車）が汽車製造で製造されました。営団発足後初の新造形式であり、銀座線の輸送力増強に大きく貢献しました。

設計思想と特徴

1300形は、基本的に東京地下鉄道1000形以来の構造を継承しており、1934年製の1200形に準じた全鋼製車体を採用しています。しかし、いくつかの点で大きな改良が加えられました。

全室式運転台

1200形ではボックス状の片隅式だった運転台が、可変構造の全室式に変更されました。運転時には独立した全室運転台として機能し、中間連結時には仕切りを折りたたむことで、助士側のスペースを客席（立席）として活用できました。この設計は、その後の2000形や丸ノ内線車両にも受け継がれました。

蛍光灯照明の採用

客室照明に地下鉄車両として初めて蛍光灯を採用しました。これにより、車内の明るさが大幅に向上し、乗客に快適な空間を提供しました。当時としては画期的な試みであり、その後の地下鉄車両の標準となりました。

運用と改造

1300形は長年にわたり銀座線で活躍しましたが、カルダン駆動の新型車両が増備されるにつれて、1964年から1966年にかけて1200形と同様に運転台を撤去し、中間付随車に改造されました。ただし、1359号車と1366号車はしばらく原型のまま使用され、その後中間付随車化されましたが、乗務員室仕切りと乗務員用側開戸を残した異端車として異彩を放っていました。乗務員室内の機器はメインスイッチやヒューズ類を除いて撤去されていましたが、常時混雑している銀座線で、機器のない乗務員室がガラス越しに見える状態は、一般の乗客には理解し難いものだったかもしれません。

異端車2両を除き、妻窓と戸袋窓のHゴム支持化、1600形・1700形と同様の客用扉の小窓化などが実施され、その他細部を更新しながら長らく使用されました。しかし、後継車両である01系の登場により、1986年（昭和61年）7月までに全車が営業運転を終了し、その役目を終えました。

1300形は、銀座線の発展に大きく貢献しただけでなく、その革新的な技術で後の地下鉄車両に大きな影響を与えました。引退後も、その功績は語り継がれています。

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