嘆きの壁

嘆きの壁の詳細

概要

嘆きの壁、または「西の壁」とも呼ばれるこの構造物は、紀元前20年頃にヘロデ大王による改築を経たエルサレム神殿の一部です。ユダヤ教において非常に重要な聖地であり、多くの信者がここを訪れています。現在見られるこの壁は、旧エルサレム神殿の存続する部分であり、ユダヤ人にとって特別な意味を持っています。

名称の由来

この壁は古いユダヤの文献において「神殿の西壁」として言及されていますが、具体的にどの壁を指しているのかは明確ではありません。「嘆きの壁」という名称は、ユダヤ人が神殿の破壊を悼むためにこの場所に集まる様子が由来です。さらに、アラビア語の「el-Mabka」（涙の場所）からの直訳でもあります。また、伝説によれば、ムハンマドがこの場所に動物ブラークをつないだとも言われています。

壁の構造

嘆きの壁全体の長さは約490メートルですが、観光客や信者がアクセスできる部分は幅57メートル程度です。壁は広場に面しており、信者たちはここで祈りを捧げます。壁は地下に埋まっている部分も考慮すると、地上約19メートル、地下を含めると32メートルの高さがあります。積み上げられた石は、合計で45段から成り立ち、67段目までの石はヘロデ大王時代に作られたものです。

使用されている石は、エルサレム・ストーンという種類で、特に重いものは約570トンに達します。これは、高度な技術を駆使して運ばれたと考えられています。かつてこの壁の上にはさらに装飾が施された構造物があったものの、7世紀初頭に破壊されました。

その後、ウマイヤ朝やオスマン帝国の時代に追加工事が行われました。特に、オスマン帝国時代には1866年に屋根付きのスペースが設けられ、礼拝者が雨や日差しを避けられるようになっています。1967年には、エルサレムのムフティーによって最終的な改修が施されました。

歴史の歩み

この壁の歴史は、紀元前20年頃のヘロデ大王による改築から始まります。70年にはユダヤ戦争が勃発し、ローマ軍によって神殿が破壊され、この壁だけが残りました。その後、ユダヤ教徒の参拝は一時禁止されましたが、4世紀には年に1日の立ち入りが許されるようになりました。

1967年の第三次中東戦争を経て、ユダヤ教徒が自由にエルサレムを訪れることが可能になり、嘆きの壁は信仰の中心地としての役割を持ち続けています。最近では、2015年11月にパリ同時多発テロ事件への抗議として、壁をトリコロールカラーにライトアップするなどのイベントも行われました。2016年には、男女で礼拝が可能な区域が設置され、よりオープンな信仰の場が提供されています。

結論

嘆きの壁は、単なる歴史的建造物以上の意味を持っています。その背後には、長い時間にわたる信仰と悲しみの物語が詰まっており、訪れる人々に深い感動を与える場所となっています。

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