嘘発見器

嘘発見器について

嘘発見器（うそはっけんき）とは、被験者の生理的変化を基にその発言が真実かどうかを判定する装置です。一般的には「嘘を見破る装置」として知られていますが、人間の精神や性嗜好の評価にも広く利用されています。特に代表的な装置としては、ポリグラフが多く使用されています。ポリグラフは、血圧、心拍数、呼吸などの生理指標を測定し、これらの変化を元に回答の真偽を推測します。

歴史と発展

嘘発見器の起源は、1921年にジョン・ラーソンによって発明されたものにさかのぼります。その後、レナード・キーラーがさらに装置を改良し、彼の名前を冠したキーラー・ポリグラフが広く使われるようになりました。この装置は、法的な証拠としてではなく、主にマスメディアや一般的な興味の対象となり、無実の証明を求める依頼が急増しました。キーラーの取り組みは、後のアメリカポリグラフ協会の設立へとつながりました。

1950年代には特にアメリカの核開発施設で多くの職員が定期的に嘘発見器による検査を受け、一般市民の間でも利用が普及しました。日本でも1951年にアメリカ陸軍で訓練を受けた技術者により、初めて嘘発見器が導入されました。

検査手順

一般的な検査の流れは、まず検査者が被験者に対し、信頼度を上げるためにあらかじめ信頼性の高い質問を行います。これにより、被験者の通常の生理反応を把握し、基準となるデータを作成します。その後、本題となる質問を行い、基準値と照らし合わせて反応が顕著に異なった場合、回答の信憑性が疑問視されます。

使用の現状と課題

現在では、嘘発見器はアメリカ国内で最も多く使用され、特に警察や核開発施設、企業での市場調査など様々な場面で導入されています。1980年代には全米で5000人以上の検査技師が活動し、年に200万人以上の人々が検査を受けたとされます。日本でも、今なお約100人の技術者が活動し、年間5000人が検査を受けていると言われています。

しかし、これは決して完璧な手法ではありません。嘘をついていないにも関わらず生理的に反応してしまうことや、逆に嘘をついても反応しないケースもあり、検査の結果が必ずしも正確であるとは限りません。更に、精神的な不安から反応が変動することもあり、これらが嘘発見器の信頼性に対する疑問を招いています。これにより、法廷での証拠としての使用を認めていない国が多いのが現状です。

現代の利用と代替手段

過去には、企業や組織で嘘発見器が不正を暴くためのツールとして頻繁に使用されていましたが、近年ではその利用が減少しています。電子セキュリティや監視技術の発展により、監視カメラや生体認証技術が導入され、より効率的に従業員の監視が行われるようになったためです。これにより、嘘発見器は従業員に対する手段としてはほぼ使用されなくなりました。

結論

嘘発見器は、その歴史的背景と共に、法執行機関や企業など多くの場面で利用されてきましたが、技術の発展や倫理的な問題からその利用法は変化しつつあります。現在は、その役割の一部が他の監視手段に取って代わられているものの、嘘発見器自体は今もなお興味深い技術であることに変わりはありません。

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