噂〜うわさ

オリビア・ニュートン＝ジョンの1988年リリースアルバム『噂』は、彼女の音楽キャリアにおいて重要な作品の一つです。娘クロエ・ラッタンジーの出産後初のオリジナル・アルバムとして、オリビアにとって新たなスタートを飾る作品となりました。

アルバムは、社会的なテーマを扱った楽曲を多く収録している点が特徴です。エイズ問題、環境破壊、離婚など、当時の社会が抱える問題に真摯に向き合い、オリビア自身のメッセージを込めた楽曲は、多くの人々の心に響きました。

アルバム収録曲のミュージック・ビデオを兼ねて制作されたTVスペシャル『オリビア・イン・オーストラリア』は、オリビアがオーストラリアを巡る様子を収録したもので、アルバムの世界観をより深く表現しています。翌年にはビデオとしても発売され、オリビアのファンだけでなく、多くの人々に愛されました。

以下に、アルバムの収録曲と、それぞれの楽曲が持つテーマを紹介します。

噂 (The Rumour)：アルバムのタイトル曲であり、1stシングル。世の中の様々な噂に翻弄される人々の姿を描いています。
ラヴ・アンド・レット・リヴ (Love and Let Live)：エイズ問題をテーマにした作品。エイズに対する偏見や差別をなくし、愛を持って生きることの大切さを訴えています。
愛を抱きしめて (Can't We Talk It Over in Bed)：2ndシングル。夫婦間のコミュニケーション不足から生じる問題をテーマに、ベッドで話し合って解決することの重要性を歌っています。
トーク・アバウト・トゥモロウ (Let's Talk About Tomorrow)：環境破壊をテーマにした作品。地球の未来を憂い、環境保護の重要性を訴えています。
イッツ・ノット・ヘヴン (It's Not Heaven)：離婚したシングルマザーを題材にした作品。困難な状況に立ち向かうシングルマザーの姿を描き、エールを送っています。
ゲット・アウト (Get Out)：外に出て働く女性が、家にいて何もしない夫への不満を歌った楽曲。当時の社会における女性の地位向上を訴えるメッセージが込められています。「愛を抱きしめて」のカップリング曲としてもリリースされました。
ビッグ・アンド・ストロング (Big and Strong)：力強い女性を称える楽曲。
恋のカー・ゲーム (Car Games)：恋の駆け引きをゲームに例えた、軽快なポップ・ソング。
貴方のために (Walk Through Fire)：愛する人のために困難を乗り越える決意を歌ったバラード。
トゥタ・ラ・ヴィタ (Tutta La Vita)：ルーチョ・ダッラの楽曲のカバー。人生の喜びを歌った、明るい雰囲気の楽曲。

2010年リマスター盤には、ボーナス・トラックとして以下の2曲が追加収録されています。

ウィンター・エンジェル (Winter Angel)
イッツ・オールウェイズ・オーストラリア・フォー・ミー (It's Always Australia for Me)：元々はオーストラリア盤のみに収録されていた楽曲で、シングルカットもされました。オーストラリアへの愛を歌った、爽やかな楽曲です。

『噂』は、オリビア・ニュートン＝ジョンの音楽キャリアの中でも、特にメッセージ性の強い作品として評価されています。社会問題に対する彼女の真摯な姿勢と、それを表現する音楽的な才能が光るアルバムです。

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