四カ国条約

四カ国条約について

四カ国条約（英語: Four-Power Treaty）は、正式には「太平洋方面に於ける島嶼タル属地及び島嶼タル領地に関する四国条約並同条約追加協定」と呼ばれ、1921年12月13日にアメリカ、イギリス、日本、フランスの4カ国によってワシントン会議の場で調印されました。この条約は、太平洋地域における各国の権益を相互に尊重し、現状を維持することを目的としています。条約の有効期間は10年であり、1923年8月17日に発効しました。

背景

第一次世界大戦及びロシア革命によって、アジア・太平洋地域における国際的な勢力バランスが大きく変化しました。戦勝国であるアメリカ、イギリス、日本、フランスの間で協議が行われ、四カ国条約の締結に至りました。この条約は、各国が持つ領土や権益の相互尊重と、それに関連する国際問題を平和的に処理する方法を定めているのです。

日本は、第一次世界大戦の連合国の一員として、戦後のヴェルサイユ条約によって山東省の権益を獲得しました。さらにアメリカとの関係が深まりつつある中で、日本はアジア太平洋におけるアメリカの利権に影響を及ぼし、アメリカ国内では日本に対する警戒論が支持されるようになりました。また、1913年にカリフォルニア州で成立した外国人土地法など、人種差別的とも言える動きも見られました。

日英同盟の解消

四カ国条約の締結に際し、アメリカは国際的な競争を避けるため、太平洋への権益を持つ国家間での協調を重視しました。これにより、日本をも含む4カ国が自国の権益を保持しつつも、互いに尊重しあう関係性を築くことが目指されました。この流れの中で、1902年から続く日英同盟は更新されず、結果的に解消されることとなります。

日英同盟の解消は、同盟国が存在しなくなることを意味し、日本は対米戦争においては参加義務が無い状態となりました。これにより、日英同盟は二国間の排他的な枠組みに基づく安全保障体制から、多国間安全保障体制へと移行したと見なされ、見方によっては「発展的解消」とも言える状況です。

四カ国条約は、形式的に各国が会議を開いて協議することで問題解決を図る新たな枠組みとして、国際社会における重要な一歩であったものの、最終的には太平洋戦争の勃発を防ぐことには寄与しなかったとされています。後年、著名な政治家ヘンリー・キッシンジャーはこの条約を、「守る必要が無く、何も結果をもたらさない条約」と評価しました。

四カ国条約のその後から、冷戦時代における国際関係の変遷をも含めて、多国間協力の重要性を再評価する機会と考えることができます。

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