四十八手 (アダルト用語)

四十八手とは

四十八手（しじゅうはって）とは、日本の江戸時代に考案されたとされる性行為における体位の分類であり、その多様なバリエーションを指す言葉です。この名称は、表と裏を合わせて九十六手とも称されるように、非常に多くの体位が存在することを意味しています。単なる体位の列挙ではなく、それぞれに独特の名称が与えられているのが特徴で、その背景には当時の文化や美的感覚が反映されています。

四十八手の由来

四十八手の起源については諸説ありますが、浮世絵師・菱川師宣が描いた春画『恋のむつごと四十八手』が有力な説として知られています。この春画は、様々な性交体位を具体的な絵で表現し、その後の四十八手の概念に大きな影響を与えました。ただし、四十八手の内容は時代や選者によって異なり、名称や体位が固定されていたわけではありません。そのため、時代に合わせて新しい体位が追加されたり、既存のものが統合されたりするなどの変化が見られます。

主な四十八手

以下に、『夢枕艶房秘書』をベースにした主な四十八手を解説します。体位の名称だけでなく、その特徴についても触れていきます。

正常位

網代本手（あじろほんて）
揚羽本手（あげはほんて）：現代で言う「大好きなホールド」に近い体位。
筏本手（いかだほんて）
鶺鴒本手（せきれいほんて）
寿本手（ことぶきほんて）
深山本手（みやまほんて）
笠舟本手（かさふねほんて）：膝を抱え込んで行う。

変形正常位

洞入り本手（ほらいりほんて）
入船本手（いりふねほんて）：男性が座位で行う。

座位

唐草居茶臼（からくさいちゃうす）
忍び居茶臼（しのびいちゃうす）：文献によっては「櫓がけ」とも呼ばれる。
本茶臼（ほんちゃうす）: 密着した座位。

側位

濵千鳥（はまちどり）：女性が正常位、男性が半身側位。
横笛（よこぶえ）
浮橋（うきはし）

交差式側位

零れ松葉（こぼれまつば）
菊一文字（きくいちもんじ）

交差位

八重椿（やえつばき）
燕返し（つばめがえし）
卍崩し（まんじくずし）
宝船（たからふね）
廓繋ぎ（くるわつなぎ）

後背位

出船後ろ取り（でふねうしろどり）
潰し駒掛け（つぶしこまかけ）
本駒掛け（ほんこまかけ）：男性が座位。
後櫓（うしろやぐら）：いわゆる「立ちバック」。

後背座位

〆込み錦（しめこみにしき）
〆込み千鳥（しめこみちどり）：男性が寝た状態。
乱れ牡丹（みだれぼたん）
月見茶臼（つきみちゃうす）: 変形の後背座位。

伸長位

筏茶臼（いかだちゃうす）
唐竹割（からたけわり）
笧（しがらみ）
筏崩し（いかだくずし）

騎乗位

時雨茶臼（しぐれちゃうす）
機織茶臼（はたおりちゃうす）

変形位

御所車（ごしょぐるま）：変形の交差位。
蜉蝣（かげろう）：女性上位の変則位。
砧（きぬた）：臀部を合わせる変則位。
狂ひ獅子（くるいしし）：結合部を見せ合う体位。

その他

花菱責め（はなびしせめ）：クンニリングス。
尺八（しゃくはち）：フェラチオ。
椋鳥（むくどり）：男性上位のシックスナイン。
白光錦（びゃっこうひしき）：手マン。
逆さ椋鳥（さかさむくどり）：女性上位のシックスナイン。
二ツ巴（ふたつどもえ）：側位でのシックスナイン。
立鼎（たちかなえ）：立位。別名「鯉の滝登り」。
櫓立ち（やぐらだち）：立位。別名「駅弁」。

主な裏四十八手

裏四十八手は、表四十八手よりもさらに多様なバリエーションを含んでいます。以下はその一部です。

俵抱き本手(たわらだきほんて)
浮島本手(うきしまほんて)
釣瓶落し(つるべおとし)
達磨返し(だるまがえし)
地藏抱き(じぞうだき)
鳴門後ろ取り(なるとうしろどり)
交喙取り(いすかどり)
裾野(すその)
座禪転がし(ざぜんころがし)
押し車(おしぐるま)
花あやめ(はなあやめ)
下り藤(くだりふじ)
流鏑馬(やぶさめ)
鵯越え(ひよどりごえ)
八つ橋(やつはし)
丁字引き(ちょうじびき)
巣ごもり(すごもり)
虹の懸橋(にじのかけはし)
絞り芙蓉(しぼりふよう)
岩淸水(いわしみず)

この他にも多数の裏四十八手が存在します。

番外

四十八手には、上記以外にも多くのバリエーションが存在します。以下に一部を列挙します。

クンニリングス
寄り添い
鶯の谷渡り
立ち花菱
フェラチオ
雁が首
千鳥の曲
吊り橋
松葉崩し
テコがかり
腰高位
腰吊位
立ち松葉
対面座位
獅子舞
首引き恋慕（紐付き）
帆かけ茶臼
抱き地蔵
こたつかがり
手がけ


四十八手は、単なる体位の分類にとどまらず、江戸時代の性文化や美的感覚を反映した興味深い文化遺産と言えるでしょう。

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