四天流

四天流について

四天流（してんりゅう）は、日本の武道の一つで、特に熊本藩で育まれた流派です。この流派は、成田清兵衛高重によって創設され、天下無双四天流とも称されます。その歴史は、源義経公に由来しており、後に組討として知られる独自の技術体系を発展させました。四天流の名は、持国天、多聞天、増長天、広目天といった軍陣の護りを象徴する四つの神々にちなんでいます。

来歴と流儀の成立

成田清兵衛は1638年に肥前国（現在の佐賀県）で生まれました。彼は若い頃から武者修行を志し、数多くの流派に学んだ後、1661年に熊本藩の細川綱利に仕官します。そこで武術指南を行い、特に組討の法を編纂し、四天流組討を体系化させました。特に剛強な組討に定評があります。

四天流の特徴は、蹲踞の姿勢から開始される正確な間合いの取り方と、相手の力を逆手に取る技術です。これにより、立技や捨て身技が駆使され、相手の急所を攻めることが可能となります。技は、身体を巧みに操ることで困難な状況を打破することに重点が置かれています。

流派の重要な技術と形

四天流は、赤身、風身、空身という3つの段階に分かれた形で構成されています。赤身では初心者が身につけるべき基本的な技が集められ、風身はより相手に対する攻撃的な動作、空身は甲冑を着た相手に対する技が教えられます。

各段階の技はそれぞれ「表」と「裏」に分かれ、試合や組討の際に適用されることが求められます。例えば、「後投げ」という捨身技は、相手の背後に回り込む高い判断力と身体能力が必要です。

四天流の広がりと近代

四天流は明治・大正時代にわたり、熊本を中心に多くの武道家を育てました。特に、星野九門師範のもとでは多くの優れた門下生が育ち、実力者として知られるようになりました。また、四天流の技術は講道館柔道の形にも取り入れられ、伝統を超えて広がりました。

現在では、三石会という団体が四天流を伝承し、熊本県内で活動を行っています。公式な演武会や公的行事へも参加し、四天流の技術保存と普及に努めています。四天流は古武道振興に関与し、昭和初期や戦後においても、その伝統が引き継がれています。

四天流の組討技術は、相手によって異なる状況に対応するための多様な技を持ち、それにより実用的な武道としての位置を確立しています。これからも、その歴史と技術を受け継ぎ続けることでしょう。

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