四日市シネマホール

四日市シネマホールの歴史

四日市シネマホール（よっかいちシネマホール）は、日本の三重県四日市市にかつて存在していた映画館です。この映画館は、近鉄グループによって運営されていましたが、その前身や後身との関係も含めて、その歴史を紐解いていきます。

1. 開業の背景

近畿日本鉄道の四日市駅が統合されて近鉄四日市駅となってからの1957年9月23日、四日市市諏訪栄町に「四日市グランド劇場」と「四日市シネマ」の2館が開業しました。当時、この映画館のオープンによって市内には15館もの映画館が存在しており、映画ファンに多くの選択肢を提供していました。特に、グランド劇場は大映封切館として注目を集め、洋画作品も上映されました。

2. 四日市シネマホールの誕生

1984年7月25日、四日市グランド劇場と四日市シネマは閉館を迎え、同年8月1日には新しい映画館「四日市シネマホール」が現在の安島1丁目に開業しました。この映画館は、ベガ、スピカ、リゲルという3つのスクリーンを持ち、様々な邦画や洋画を楽しめる場として長年親しまれました。

3. 経営の変遷

映画館の運営は当初近鉄興業が行っていましたが、近鉄グループの再編が進む中で、2004年6月には四日市シネマホールの閉館が決定しました。また同日に近鉄あやめ池遊園地も閉鎖されました。この映画館は、その後、ライバルである「四日市中映」に事業を譲渡され、7月17日には「四日市中映シネマックス」として新たにオープンしました。

4. 映画館の終焉と跡地の変化

「四日市中映シネマックス」は2スクリーンに縮小され、主にミニシアター指向の作品を上映する形に変わりました。しかし、隣接した「109シネマズ四日市」の登場により集客が難しくなり、2007年9月28日には河瀬直美監督作品『殯の森』の上映を最後に再び閉館となりました。こうして、四日市市の映画文化の象徴とも言えるこの映画館は、50年にわたる歴史に幕を下ろしました。

5. 現在の状況

四日市グランド劇場の跡地には、1988年に「スターアイランド」という商業施設が開設され、現在も多くの人々が訪れる場となっています。また、シネマホールや中映シネマックスがあった場所は、近畿日本鉄道と三交不動産により複合ビルに生まれ変わり、その中にはビジネスホテル「三交イン四日市駅前」が営業しています。

四日市シネマホールは、地域に密着した文化施設としての役割を果たしていましたが、時代の流れとともにその姿を消してしまいました。ただし、その存在や影響は現在に至るまで語り継がれており、映画愛好者にとっては特別な思い出となっています。

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