四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件

四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件

四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件は、2004年2月17日に三重県四日市で発生した悲劇的な事件です。この事件では、68歳の男性が誤って逮捕され、その結果として命を落としました。事件の発端は、ジャスコ四日市尾平ショッピングセンター内のATMコーナーで女性の財布が盗まれたとされることにあります。

事件の日、逮捕の対象となった68歳の男性は、店員や他の買い物客に取り押さえられ、やがて現場にいた警察官に引き渡されました。しかし、残念ながら彼はその後死亡してしまいます。調査の結果、彼の死因は「高度のストレスによる高血圧性心不全と不整脈」であることが発表されました。事件の直後、三重県警察はこの男性を被疑者としたまま書類送検を行いました。

その後の捜査では、男性を制圧していた際に現場から立ち去った女性が防犯カメラに映っていたことが判明しましたが、警察はその女性が犯罪に関与しているかどうかは特定できないとし、疑わしい人物の画像を公開するという異例の措置を取ったのです。この公開は、歴史的な事例であるグリコ・森永事件以来のものでした。

2011年5月、津地方検察庁は男性の無実を認め、被疑者補償として遺族に12,500円を支払うことを決定しました。同年9月には名古屋高等裁判所が三重県に約3,644万円の賠償を命じる判決を下しました。それに対し三重県側は「制圧行為は必要かつ正当なものであった」との姿勢を崩しませんでした。

事件は民事訴訟にも発展し、2007年には男性の遺族が三重県を相手に約5,700万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。三重県はその対応が適切であったと反論しました。2010年には津地方裁判所が原告の一部の訴えを認め、880万円の支払いを命じました。裁判長は、制圧行為が「必要かつ相当な限度を超え、違法であった」と述べたものの、死亡の因果関係を認めることはありませんでした。遺族はこの判決に控訴し、さらに続く訴訟の中で名古屋高等裁判所は一審判決を変更し、三重県にさらなる賠償金を支払うよう命じる結果となりました。

この事件は、警察の対応や誤認逮捕の問題を浮き彫りにしたのみならず、個人の命がどれほど簡単に奪われ得るかを警鐘とするものです。特に、ジョージ・フロイドの死亡事件と共通する点が指摘され、社会全体での警察の暴力に対する見直しの必要性が叫ばれています。事件の詳細や経過は、被害者の遺族や関係者による様々な形で今も語り継がれており、今後の改善が求められています。

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