四旬節

四旬節について

四旬節（しじゅんせつ）は、カトリック教会および一部プロテスタントの教派の典礼暦における重要な期間で、復活祭の46日前の水曜日、すなわち灰の水曜日から開始され、復活祭の前日である聖土曜日までの40日間を指します。ただし、日曜日は除外されるため、実際には40日ではなく46日間の期間になります。

四旬節の意義

「四旬」とは四十日間のことを意味し、この期間は主に悔い改め、祈り、断食、慈善の実践を通じてキリストへの驚異とその受難に思いをはせる時でもあります。特に「灰の水曜日」には、信者が自らの罪を省みるために灰を額に塗られる儀式が行われます。

この期間に聖なる過越の3日間として知られる聖木曜日、聖金曜日、聖土曜日が含まれ、これらは特に重要な日として挙げられます。聖木曜日は最後の晩餐の記念と洗足式が行われ、聖金曜日は主イエスの受難を思い起こす日となります。そして、四旬節は聖土曜日の夜に復活徹夜祭をもって完結し、復活祭の祝福が迎えられます。

四旬節の起源

四旬節の歴史を辿ると、数字の「40」は聖書において特別な準備期間を示すものとして用いられています。古代の預言者たちやイエス・キリスト自身も40日間の断食や試練を経ることで人々の救済を実現しました。

この四旬節という祭りのラテン語での命名「Quadragesima」は「40番目」を意味し、元々は復活祭に向けた40時間の断食から由来しています。教会の歴史の中で、洗礼を受ける求道者がこの準備期間に様々な修行を行うことが一般化し、その結果、信者全体へと広がっていった背景があります。

四旬節の慣習

四旬節中は、特に食事や娯楽について自制を求められ、自らを見つめ直す機会とされています。信者たちは祈り、断食、慈善活動を通じて自己の信仰を深める努力をし、また食事の節制を実践します。伝統として、特に肉や卵、乳製品の摂取は禁じられ、1日1回の食事が原則とされるなど、厳格なルールが存在しました。この習慣は、古代の収穫量と関連しており、春になると食事の質素さが求められた歴史的背景があります。

また、カトリックのミサにおいては、四旬節の間は「栄光唱」や「アレルヤ唱」が歌われないという伝統があり、四旬節の進行が教会の中で厳粛に受け取られています。

他教派での四旬節

四旬節の呼称は、教派によって異なり、聖公会では「大斎節」と呼ばれ、日本基督教団などのプロテスタント系教派では「受難節」とされます。さらに、正教会における「大斎」とは、四旬節の考え方は類似しながらも、始まりや期間についてはずれが生じることもあります。

現代の四旬節の実施

今日のカトリック教会では、食事の節制には18歳から60歳の健康な信者が対象となり、具体的な実施法は国に応じた司教団の決定に従う形となっています。基本的には、大斎の日には一日一回のしっかりとした食事を摂り、他の二回は軽めに抑えることが求められ、金曜日には肉を食べないといったルールが設けられています。

このように、四旬節は単なる習慣ではなく、信者の精神性や信仰の深さを反映した大切な期間として位置づけられています。

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