四輪自転車

四輪自転車：安定性と多様性を追求した人力車の進化

四輪自転車、別名クアドリサイクルは、4つの車輪を持つ人力で走行する乗り物です。ペダルやハンドクランクで推進し、運転者が乗車して使用するものを指し、電動アシスト機能付きの自転車も含みます。

初期の四輪自転車：安定性への追求

初期の自転車は速度が遅かったため、安定性を高める目的で四輪自転車が開発されました。多くのモデルは車輪を長方形に配置していましたが、菱形に配置されたモデルも存在しました。菱形デザインは長方形デザインに比べて安定性が低かったことが特徴です。座席は複数配置されるものが一般的で、前後に座るタイプと左右に並んで座るタイプがありました。蒸気エンジンなどの内燃機関を搭載したモデルも実験されましたが、自動車の登場によって淘汰されました。人力のみではせいぜい0.5馬力程度しか出力できず、車輪の増加は重量と抵抗の増加を招き、操縦を難しくしたためです。

現代の四輪自転車：サリースタイルと多様な用途

現代では、サリースティールと呼ばれる、ベンチシート、ラックアンドピニオン式ステアリング、天蓋を備えた四輪自転車が観光地などでレクリエーション用として利用されています。これは、19～20世紀の軽馬車であるサリーを起源とするスタイルです。

日本の四輪自転車：法規制と市場の変遷

日本では、1980～2010年代には、大人1人乗りの四輪自転車は補助輪付きを除き普通自転車とは認められていませんでした。そのため、市場での需要は低く、国内での製造も盛んではありませんでした。輸入車や三輪リカンベントを改造した四輪車などは存在しましたが、普及は限定的でした。一方、介護用2人乗り自転車や自転車タクシーなど、多人数乗車による安定性確保を目的とした四輪自転車は製造されていました。

2020年12月1日の法改正により、従来の普通自転車のサイズ規制（長さ190cm以下、幅60cm以下）を満たす四輪自転車も普通自転車として認められるようになり、条件付きで歩道通行と自転車道の通行が許可されました。これを受け、主にシニア層向けに普通自転車サイズの電動アシスト付き四輪自転車が国内で販売されるようになりました。ただし、従来の大型四輪自転車はサイズ規制を満たさないため、依然として普通自転車とはみなされず、歩道通行や自転車道通行は制限されています。

法令の変遷：歩道通行と自転車道通行の規制

2020年12月1日以前は、四輪自転車は歩道通行が認められず、自転車道も通行できませんでした。事実上、軽車両として扱われていました。二輪または三輪自転車を押して歩く場合はみなし歩行者として歩道通行が認められていましたが、四輪自転車はそれが適用されず、車道通行が原則でした。自転車道についても、二輪または三輪自転車は通行可能でしたが、四輪自転車は通行不可でした。

改正法令により、「長さ190cm以下、幅60cm以下の四輪自転車」（サイドカーやサイクルトレーラー付きを除く）は、押して歩く場合はみなし歩行者として歩道通行が可能となり、自転車道も通行できます。ただし、普通自転車に該当する場合は通行義務が生じます。

主要な四輪自転車メーカー

四輪自転車は、様々なメーカーから製造・販売されています。国際的なメーカーから、日本国内のメーカーまで、多様なモデルが市場に存在しています。主なメーカーとしては、International Surrey Company、The Rhoades Car、Champiot、Rowbike、Eric Staller's Conference Bike、ランドウォーカー、カワムラサイクル、マックス、リキシャマン、アーテック、協栄製作所などが挙げられます。これらのメーカーは、観光用から介護用まで、様々な用途に対応した四輪自転車を製造しています。

まとめ

四輪自転車は、安定性と多様性を両立させた人力車両として、長い歴史を持っています。近年では法規制の改正により、市場の拡大が見込まれ、高齢者向けや観光用途など、様々なニーズに対応したモデルが開発・販売されています。今後も、その進化は続いていくでしょう。

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