回路図

回路図とは、電気回路、空気圧機器、油圧機器などの回路を表現するために用いられる図のことです。実体配線図とは異なり、回路図上の位置は実際の部品配置場所とは関係なく、一種のグラフとして機能します。

回路図の特徴

以下では、主に電子回路図の場合について解説します。

アマチュアの自作や試作の場合

詳細な部品の型番や抵抗値、コンデンサの容量などの値が省略されることがあります。
IC周辺によく使用されるパスコンなどの部品自体が省略されることがあります。
ICの電源（Vcc、GNDなど）や未使用のピンが省略される場合があります。

プロによる製品設計の場合

量産品の回路図では、使用される部品の詳細な型番、値と回路図が厳密に対応しており、データ上は省略されることはあまりありません。
ただし、全てを表示すると回路図が煩雑になるため、一部の情報をあえて非表示にすることがあります。
プリント基板上の部品と回路図上のシンボルの対応は省略されません。
同じ回路設計でも、国内向けと海外向け、製品グレード、出荷地域によって部品の値や種類が変わることがあります。これは仕向地処理と呼ばれ、高級回路図CADでサポートされることもあります。
プリント基板設計CAD（アートワークCAD）は、回路図の部品や結線とリンクしており、回路図CADからアートワークCADへデータが読み込まれるため、基本的には矛盾は生じません。
ただし、設計変更によって部品や定数が変更された場合、双方のデータをきちんと更新しないと矛盾が発生し、エラーの原因となります。
回路図と設計変更が正しく更新されていれば、誤配線は発生しません。

回路図のシンボル

回路図のシンボルはIECで定められていますが、国ごとの標準規格が異なっていたり、わかりやすさを優先して標準と異なるシンボルが使われることもあります。
CADの普及後も、メーカーによって異なるシンボルが使われたり、アレンジされたシンボルが使われたりしており、表記法は統一されていません。
近年では、アートワークCADでプリント基板を設計することが一般的であり、シンボルの形状は結線に直接影響しないため、デザインよりも結線が重視されています。
従来の回路図では、ICに複数の電圧が使用される場合でも同じシンボルが使えましたが、CADでは判別が難しいため、電圧ごとに別々のシンボルを定義する必要があります。

回路図の限界

回路図には、プリント基板上の部品の位置、配線経路、等長配線、特性インピーダンスなどの情報は含まれないことが多いです。
特にアナログ回路や高周波回路の場合、回路図だけでは製品の性能を十分に引き出すことは難しく、別途図面や指示が必要となります。

関連項目

電気部品図記号（電気用図記号）
路線図
位相幾何学
電気図
* 単線結線図

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