団練

団練（だんれん）とは

団練（だんれん、または團練とも表記）は、清王朝時代の中国において、地方の有力者たちが自らの地域を守るために組織した武装集団、いわゆる民兵組織のことです。

団練成立の背景

19世紀初頭、中国では白蓮教徒の乱が勃発しました。この反乱は、正規軍である八旗や緑営の軍隊では鎮圧することが難しく、清朝政府は事態の収拾に苦慮しました。そこで政府は、地方の有力者である郷紳（きょうしん）に対し、臨時の軍隊を徴募するよう命じました。これが「郷勇（きょうゆう）」と呼ばれる軍隊の始まりです。

団練は、この郷勇の兵員を供給する重要な役割を担いました。元々、地方の自衛組織として存在していた団練は、郷勇の設立にあたってその組織基盤を提供し、多くの人員を送り出しました。つまり、団練は郷勇の母体となったと言えます。

団練と郷勇の違い

団練と郷勇は、どちらも地方の民兵組織を基盤としている点で共通していますが、その性質には重要な違いがあります。

• - 団練: あくまで地方の有力者たちが自発的に組織した民兵組織であり、その目的は地域の自衛にありました。
• - 郷勇: 一方、郷勇は清朝政府の命令によって臨時的に徴募された政府軍です。団練を母体として創設されたものの、あくまで政府の指揮下にある軍隊であり、反乱鎮圧などの任務を遂行しました。

郷勇の中でも特に有名なのは、湘軍（しょうぐん）と淮軍（わいぐん）です。これらの軍隊は、団練を基盤として組織され、その後の中国の歴史に大きな影響を与えることとなりました。

団練の歴史的意義

団練は、清朝末期の動乱期において、地方の治安維持に貢献しただけでなく、新たな軍事力の形成にも大きな役割を果たしました。その活動は、単なる自衛組織にとどまらず、後の中国の軍事、政治情勢にも影響を与えたと考えられています。

団練の存在は、当時の中国社会における地方の有力者の役割の大きさを示すものであり、また、中央政府の力が地方にまで十分に及んでいなかった状況を反映しているとも言えるでしょう。

関連用語

• - 郷勇（きょうゆう）: 清朝政府が臨時に徴募した軍隊。団練を母体として創設された。
• - 壮丁（そうてい）: 兵士、兵役につく者。
• - 義勇軍（ぎゆうぐん）: 自発的に組織された軍隊。

参考文献

• - 日本大百科全書(ニッポニカ)『団練』 - コトバンク

団練は、清代の社会情勢を理解する上で重要なキーワードであり、その歴史的な意義は大きいと言えます。

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