図書館令

図書館令の歴史とその改正

日本における図書館令は、初めて図書館運営に関する独立した法令として1933年に制定されたもので、その後の図書館法（1950年制定）によって一部の規定は廃止されました。この法令は、日本の図書館システムの基盤を築き上げた重要な法的枠組みでした。

図書館令の成立背景

図書館令は、1879年の教育令に始まり、1886年には書籍館に関する規程が整えられるなど、図書館に対する需要は高まりを見せていました。1892年には日本文庫協会が設立され、1997年には帝国図書館が設置される等、図書館の正当化が進んでいました。しかし、法律による明確な規定が不足していたことから、図書館令の制定が求められました。特に、公共図書館の整備や運営の基準を明確にする必要があったのです。

改正図書館令の概要

改正図書館令（昭和8年勅令第175号）は、全14条から成り、それまでなかった「社会教育」の観点が盛り込まれました。図書館の目的は、書籍の保存のみならず、社会教育に関連する事業を実施することをも含むように拡大されました。

また、図書館設置の主体を拡大し、地方知事による図書館の設置状況や運営の指導が求められることになりました。このように、図書館が地域教育において果たすべき役割が明確化されたのです。

改正前の問題点

改正図書館令の前には、公立図書館における閲覧料の徴収が認められていました。この点が国際的な基準と逆行しているとして、日本図書館協会から廃止の要望が上がっていました。とはいえ、政府や文部省は社会教育の促進を図りつつ、図書館の機能を国教化の一環として捉えていたのです。

改正後の図書館の役割と影響

改正図書館令の施行により、日本国内の図書館構造は著しく変化しました。帝国図書館を頂点とし、中央図書館、市町村の図書館、私立図書館が相互に連携する体制が整いました。しかしこの体制の中で、公立図書館職員は官吏に依存する傾向があり、結果として図書館は政府の国策に従属することになったのです。

特に、自由主義や社会主義的な思想に対する敵視は強まり、図書館は一種の思想統制機関としての役割を果たすことが求められました。社会教育を目的とした運営が歌われる一方で、実際には政府の意向に従った図書館の管理が進んだのです。

戦争と図書館

太平洋戦争が進むにつれ、図書館は「不要不急」の施設とされ、接収される例が多く見受けられました。戦後、図書館の再建は戦災復興の優先順位が低く、放置されることとなりました。

このような状況下で、新たな図書館法の制定は、図書館令の反省を踏まえて行われることとなり、図書館の役割や機能の見直しが始まったのです。

まとめ

図書館令の成立とその後の改正は、日本における図書館制度の重要な変遷を反映しています。国民教育の一環としての図書館の発展と、それに伴う政府の介入や統制の過程は、図書館がどのように社会の中で位置付けられているかを考える上で重要な視点を提供します。

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