国務院香港マカオ事務弁公室

国務院香港マカオ事務弁公室（こくむいんホンコンマカオじむべんこうしつ、国务院港澳事务办公室）は、中華人民共和国国務院に属し、香港とマカオに関する政策を専門的に扱う政府機関です。一般的には「国務院港澳弁」や英語名の「Hong Kong and Macau Affairs Office of the State Council (HMO)」として知られています。また、中国共産党中央委員会にも「中共中央港澳工作弁公室（中央港澳弁）」という別の名称で同等の組織が存在します。

組織と所在地

国務院香港マカオ事務弁公室は、北京市の西城区月壇南街77号に所在しています。この機関のトップである主任には夏宝竜が就任しており、副主任には周波、張暁明、華建が名を連ねています。

内部組織は、日本の官庁における局に相当する「司」という単位で構成されており、以下の部門があります。

秘書行政司（人事司）：組織内の人事や行政事務を担当します。
総合司：政策立案や全体の調整を担います。
政研司（政治研修司）：政治的な研究や研修を担当します。
連絡司：各部や地方政府との連絡、調整を行います。
交流司：経済、文化、教育などの交流を促進します。
法律司：香港・マカオ関連の法律問題を扱います。

また、中国共産党機関委員会も設置されており、内部の党務を管轄しています。付属機関としては、香港マカオ研究所があり、この研究所は毎年「香港マカオ経済年鑑」を発行しています。

主な職務

国務院香港マカオ事務弁公室は、香港とマカオに関する幅広い職務を担っています。

調査研究: 香港・マカオの社会情勢や各分野に関する調査研究を行い、政策立案に役立てます。
連絡調整: 各部や地方政府と香港・マカオ特別行政区の当局間の連絡を監督、調整します。円滑な連携を促進し、政策の実行を支援します。
行政長官との関係: 香港行政長官・マカオ行政長官と中央政府との業務関係を管轄し、両特別行政区の行政運営を支援します。
協力促進: 香港・マカオと中国本土の経済、科学技術、教育、文化などの協力および交流を促進し、両地域の発展に貢献します。
出張管理: 公務による香港・マカオへの出張に関する審査や、証明書の発行などの管理を行い、円滑な交流を支えます。
企業管理: 香港・マカオにおける中国資本企業・組織の管理や、労務輸出の管理にも参画します。経済活動の健全な発展を促進します。
政策宣伝: 香港基本法・マカオ基本法や中央政府の香港・マカオに対する方針・政策を宣伝し、国民の理解を深めます。

歴史と歴任主任

国務院香港マカオ事務弁公室は、香港とマカオが中国に返還される以前から存在し、両地域の安定と発展のために重要な役割を果たしてきました。

歴代の主任は以下の通りです。

廖承志（1978年 - 1983年）
姫鵬飛（1983年 - 1990年）
魯平（1990年 - 1997年）
廖暉（1997年 - 2010年）
王光亜（2010年 - 2017年）
張暁明（2017年 - 2020年）
夏宝竜（2020年 - 現在）


これらの主任たちは、それぞれの時代において香港とマカオに関する重要な政策決定に関与し、両地域の発展に貢献しました。

関連事項と外部リンク

国務院香港マカオ事務弁公室の活動は、「一国二制度」という中国独自の枠組みの中で行われています。また、香港の対外関係や、中央政府駐香港連絡弁公室など、関連する機関との連携も重要です。

関連情報については、以下のリンクも参考にしてください。

中華人民共和国国務院港澳事務弁公室 （公式サイト）
港澳経済年鑑

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