国友末蔵

国友末蔵：日本の電気技術を牽引した先駆者

国友末蔵（1881年11月17日～1960年10月17日）は、日本の電気技術者、実業家であり、明治後期から昭和にかけて日本の電気事業発展に大きく貢献しました。京都府京都市に生まれ、幼少期から技術への関心を育み、京都帝国大学で電気工学を修めました。

電気技術者としての足跡

大学卒業後、国友は新潟県高田市（現上越市）の上越電気（後の越後電気、中央電気）に入社しました。主任技術者として、関川水系の電源開発に携わり、蔵々発電所の建設を成功させました。その後も、会社の発展とともに、取締役、専務取締役を歴任し、技術者としてだけでなく経営者としても手腕を発揮しました。

日本初の揚水発電所建設

国友の最大の功績の一つは、日本初の揚水発電所である池尻川発電所の建設です。アメリカやヨーロッパの先進技術を視察し、揚水発電の可能性に着目。その技術を導入し、雪解け水を利用した効率的な発電システムを確立しました。これは、日本の水力発電技術において画期的な進歩でした。

地域社会への貢献

国友の活動は、電力供給だけでなく地域社会の発展にも貢献しました。関川のダム建設は、発電能力の向上だけでなく、農業用水の確保にも繋がり、地域住民の生活を豊かにしました。また、中央電気工業や日本ステンレスの設立にも関わり、地域経済の活性化にも貢献しました。

戦時下と戦後の活動

太平洋戦争中、電力国家管理により中央電気は解散しましたが、国友は東北配電の理事として、電力供給の維持に尽力しました。戦後も、中央電気工業の取締役や監査役を歴任し、電力事業の復興に貢献しました。昭和天皇の巡幸の際には、「雪と水力発電」について進講しています。

その功績と顕彰

国友の功績は、生前から高く評価され、高田市名誉市民第1号に選ばれました。また、長年の電気事業への貢献から藍綬褒章を受章。高田公園には胸像が建てられ、その偉業を後世に伝えています。没後、正六位に叙され、勲五等双光旭日章が追贈されました。

国友末蔵は、その卓越した技術力と先見性によって、日本の電気事業の発展に大きく貢献した人物です。彼の遺した功績は、今日の社会においても高く評価されています。

誕生: 1881年11月17日、京都府京都市
死去: 1960年10月17日、新潟県高田市
主な役職: 上越電気（越後電気、中央電気）技師長、取締役、専務取締役、東北配電理事、中央電気工業取締役、日本ステンレス取締役
主な業績: 蔵々発電所建設、池尻川発電所建設（日本初の揚水発電所）、関川ダム建設
* 主な顕彰: 高田市名誉市民、藍綬褒章、勲五等双光旭日章

もう一度検索