国史学会

国史学会

概説

国史学会（こくしがっかい、英語名称: The Society of Japanese Historical Research）は、日本の歴史学分野における主要な学術団体の一つです。明治時代後期の1909年（明治42年）に創設され、以来、日本の歴史に関する研究の進展と普及に貢献してきました。学術研究の推進を使命とし、日本歴史学協会にも加盟しており、日本の歴史学界において重要な位置を占めています。

設立と沿革

国史学会は、1909年、当時の東京帝国大学教授であり帝国学士院会員でもあった文学博士、三上参次氏を初代会長として発足しました。これは、明治時代末期における日本の歴史研究の隆盛を背景としています。三上参次氏は、日本史学史や江戸幕府史などの分野で顕著な業績を挙げた高名な歴史家であり、その指導力のもと、学会は活動を開始しました。設立以来、多くの歴史研究者が集い、活発な学術交流を行ってきました。学会は、時代ごとの歴史研究の動向に応じながら、その活動を継続し、日本の歴史学の発展に寄与しています。

機関誌『国史学』

学会の主要な活動の一つとして、学術機関誌『国史学』（英題: The Journal of Japanese History）の刊行があります。この機関誌は、1929年（昭和4年）に創刊されました。これは、学会設立から20年後のことであり、それまでに蓄積された研究成果を発表し、会員間の学術情報を共有するための重要な媒体として位置づけられました。『国史学』には、会員や関連研究者による論文、研究ノート、書評、学会記事などが掲載され、歴史学における新たな発見や知見が広く共有されてきました。創刊以来、今日に至るまで刊行が続けられており、現在は年間3回のペースで発行されています。この機関誌は、日本の歴史研究における重要な研究成果の集積として、研究者や学生にとって欠かせない資料となっています。

組織運営

国史学会は、会員の会費や事業収入によって運営されています。会の運営実務を担う事務局は、東京都渋谷区に所在する國學院大學内に設置されています。國學院大學は日本の歴史学、特に国史研究において長い伝統を持つ教育機関であり、その学術環境の中で事務局が活動していることは、学会の運営にとって大きな支えとなっています。学会の代表である会長は、会員の中から選出され、会務を統括します。歴代の会長は、日本の歴史学界をリードする著名な研究者が務めており、例えば、2012年時点では國學院大學教授の鈴木靖民氏が会長を務めていました。学会は、日本歴史学協会において「委員推薦学会」として名を連ねており、日本の歴史学研究の連携と発展において一定の役割を果たしています。

学術的な役割と展望

国史学会は、設立から一世紀を超える長い歴史の中で、日本の歴史学研究の中心的な担い手の一つとして活動してきました。会員は、古代から近現代に至るまでの幅広い時代の日本史を専門とする研究者で構成されており、多角的な視点からの研究発表や議論が行われています。学会が提供する研究発表会や講演会、そして機関誌『国史学』を通じた情報発信は、研究者間の交流を促進し、新たな研究テーマの開拓や研究方法の深化に貢献します。また、若い研究者の育成にも力を入れており、次世代の歴史学を担う人材の育成にも寄与しています。今後も国史学会は、変化する社会の中で歴史研究の重要性を問い直しつつ、学術的な質の向上と研究成果の社会への還元を目指し、日本の歴史学の発展のために活動を続けていくことでしょう。

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