国土社

株式会社国土社：日本の出版文化を彩る老舗出版社

株式会社国土社は、日本の出版業界において長年にわたり活躍してきた出版社です。1929年、長宗泰造氏によって東京・文京区に厚徳社印刷所として創業されました。その後、1937年には出版部門である厚徳書院を設立、そして1946年には国土社を設立、1948年には株式会社化されました。創業者の長宗泰造氏は、国土社の社長として、教育図書や児童図書の出版に力を注ぎ、日本の出版文化の発展に大きく貢献しました。

国土社は、教育に関連する雑誌や書籍の発行で知られています。代表的な雑誌には、『教育』『数学教室』『月刊社会教育』『理科教室』などがあり、長年にわたって教育現場を支えてきました。 また、児童向けの作品も多く手がけており、中でも「世界の伝記」「ジュニア版世界の名作」シリーズは、幅広い世代から愛され続けている人気シリーズです。さらに、『斎藤喜博全集』『筑波常治伝記物語全集』『現代日本童謡詩全集』といった、著名な作家や歴史上の人物に関する全集も刊行し、日本の文化遺産の保存と継承にも貢献してきました。

国土社の出版物は、教育現場だけでなく、家庭においても広く利用されてきました。特に児童図書においては、質の高い作品を数多く世に送り出し、子どもたちの読書習慣の育成に貢献しています。例えば、茂市久美子作、山中冬児絵の『おちばおちばとんでいけ』は、ひろすけ童話賞を受賞するなど、高い評価を得ています。また、せいのあつこ作『ガラスの壁のむこうがわ』は、読書感想画中央コンクールの指定図書に選ばれるなど、子どもたちの創造性を育む作品としても高く評価されています。

国土社は、教育図書や児童図書の出版だけでなく、学校劇関連の出版物も多数発行しています。日本学校劇連盟との連携を通して、『学芸会の事典』『日本学校劇名作全集』『学校劇』といった作品を刊行し、学校教育における演劇活動の充実にも貢献しました。これらの出版物は、学校における演劇教育の質を高める上で重要な役割を果たしました。

しかし、近年では出版業界を取り巻く厳しい経営環境の影響を受け、2015年には会社更生法の適用を申請する事態となりました。それでも、国土社は新たな道を歩み始め、2018年には日本BS放送（BS11）の連結子会社となりました。これは、国土社の歴史と実績が評価された結果であり、今後の発展にも期待が寄せられています。同業の理論社も連結子会社となったことにより、出版業界における新たな連携体制が構築されました。

国土社は、創業以来、日本の出版文化に多大な貢献をしてきました。教育図書や児童図書の出版を通して、子どもたちの成長を支え、日本の教育現場を支え続けてきました。これからも、質の高い出版物を提供することで、日本の文化の発展に貢献していくことが期待されます。

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